初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
───この世の全てを牛耳ろうと企む魔女に小鳥にされてしまった、とある国のプリンセス〝マーリィ〞。
すぐさま彼女は魔女の手下の魔獣が作った黄金の鳥かごに入れられてしまった。
しかもその鳥かごには魔力が宿っており、それに触れるものは皆、容姿が化け物になってしまうと恐れられているので、マーリィが捕らわれていると知っても誰も助けに来られない日々が続いていた。
そんなある日、魔女はマーリィに告げた。
「次に月が満ちる夜におまえを食えば、私は永遠の若さが手に入るのだ」
小鳥になったマーリィは、もう助かることはないのだと、嘆き悲しんだ。
それから幾日か経ち、月が満ちる日の夕刻。
私はあと数時間で魔女に食べられてしまう運命なのだ…と悲しみに暮れるマーリィの元へ、白馬に乗った騎士が現れた。
そして鳥かごの中にいる小鳥のマーリィに「僕は必ずあなたを助け出します」と告げると懐から古そうな本を取り出し、それを持っていた片手剣にかざした。
すると剣は目を開けていられないほど眩しい輝きを放ち始め、その光を鳥かごに向けると、黄金だった鳥かごは徐々に錆(にび)色に変わっていった。
やがて光はスゥ…と消え、騎士が片手剣でその鳥かごをツンとつつくと鳥かごはボロボロッと崩れ、騎士は小鳥の姿のマーリィを両手でそっと掬い上げた。
騒ぎに気付いた魔女がやって来てこの状況を理解すると、マーリィにした時と同様に、魔力を宿した杖で騎士を小鳥に変えようとしたのだが、騎士は、魔女の杖から放たれた魔光を片手剣で跳ね返した。
すると、その光を浴びた魔女が自らの魔法で小鳥の姿になると、その事を知らない手下の魔獣に食べられてしまった。
魔女が消えた事で魔法が解けたマーリィは、元の人間のプリンセス・マーリィの姿に戻った。
実は、騎士はマーリィの国の隣国の王子で、以前、父親の付き添いでマーリィの住むお城に行った時に、庭で落とし物を拾ってくれたマーリィを見初めたという。
その後もマーリィを忘れられなかった王子は、求婚するためにマーリィの住むお城へ行くと、マーリィの父から、マーリィが魔女に小鳥にされて捕らわれた事を聞き、居ても立ってもいられず、すぐさま一人で助けに来たのだという。
王子はマーリィにプロポーズをすると、実はマーリィも遊びに来ていた王子のことを密かに想っていたと告げた。
それから、結婚した2人は両国の架け橋となり、これにより双方の国に繁栄をもたらし、両国の民に慕われながら末永く仲良く幸せに暮らしたという───