想っていたのは私だけでした

18

✳︎✳︎✳︎

スミレは言われた通りに、先程の場所で動かずに待機していた。

いったいどういう状況なのかまるで分からない。
そもそもなぜデーさんはガヴェインのことを知っていたのだろう
 今日ガヴェインがここにいることも

それになぜ救出までしてくれるのか

謎だらけだった

「きっと魔法ですべてわかるのね」

とりあえず考えても仕方ないとふるふると首を振る
戻って来たときに色々聞かなきゃ

戻って来た時…

ガヴェインと、会える

ガヴェイン、怪我とかしてないよね
大丈夫だろうか
私のことを覚えているだろうか

今までどこにいたんだろう
売られるなんて…
今まできっと酷い扱いを受けてきたんだろう
助けたい

会えたら、まず、何を言おう

言いたいことがあり過ぎて

「ガヴェイン…」

スミレは壁に寄りかかると、空を見上げた

「あまり見えない。」

もう夜だというのに期待して見上げた星空ではなかった

普段小屋から見上げると、見渡す限りの満天の星空で、まるで星屑を散りばめた絨毯のようなのに



「ミャーオ」
「ウギャーオ」

この声は
猫?

「シャー!」
「ミャオミャオ!」

何やら気配を感じたら、
トスンと頭上から目の前に猫が2匹現れた
真っ黒い猫と、グレーな猫だった

お互い威嚇しながら尻尾を振り上げ、睨みあっている

突然の事に驚き思わず 「わっ」
と声を発したが急ぎ口を噤む

辺りをキョロキョロ確認するも誰もいない

ほっと胸を撫で下ろしたものの、どうすべきかスミレは困った


スミレの目の前で喧嘩を始めた猫達

グレーの猫が右前足を振り上げて黒猫の顔面に振り下ろした


ザクッと黒猫の左目辺りを直撃した

黒猫はジャンプして横に跳ぶも、片目は閉じて血が流れ出ていた
それでも怯むことなく立ち向かい反撃する
黒猫が今度はグレーの猫の顔を抑えつけようと飛びかかる

 「喧嘩はだめ!」

思わずスミレは猫達を追い払うように飛び出した

飛び上がらんばかりに驚いた様子でグレーの猫は退散(実際に数十センチはビクッと反応してジャンプした)

黒猫は走ろうとして壁に激突した

「ごめんごめん猫ちゃん達、そんなに驚いた、黒猫ちゃん大丈夫?」

慌てて黒猫を抱き上げようとした手を引っかかれる

「いたっ」

怖がらせてごめんねと言いながら、
スミレは黒猫に手をかざして、怪我を治療した

「ほら、もう大丈夫」

黒猫は立ち上がり走り去った
スミレも先程の位置に戻ろうとした時だった

ガサッと音がしたと思うと頭上から足まですっぽりと大きな袋を被せられた

「え?え?やだ!何するんですか!出して!」

怖い怖い助けて

バタバタと暴れてもがいても袋からでることはできず

ドスンと腹部に衝撃がありそのまま意識が飛んでしまった






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