想っていたのは私だけでした

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デーさんが第三王子であることを聞かされたスミレは、今までのやり取りを振り返ると恐ろしくなった


知らないとは言え、畏れ多くもゼイン殿下のお身体に治療を…

捕まって裁かれるのではないかと青ざめるスミレ


そんなスミレをアルは「怪我の件は私達だけの秘密だから問題ない」と軽く笑ってなだめる

そして、そのアメさんことアルさん、本名アルバート様の身の上も知り落ち着かない

「あ、あの、クロフト伯爵さま」

急によそよそしくなったスミレの態度に、アルは距離を感じて顔をしかめる

その表情を見てスミレは、オロオロするはばかり

「何かそそうがありましたでしょうか?」

「アルでいい」

「え?」

「名前だ、私のことはアルと。敬語もいらないそんなに畏まらなくていい。急に態度を変えられると調子が狂う」

今までの自身の彼への態度を考えたら反省するばかりだ


「アルバートさま、本当に今まで申し訳ありません」

「アルだ」
呼び方が違うとアルは納得しない

「さすがに、それは…では、アルさまとお呼びしても…」

「あぁ」

表情の柔らいだアルを見てスミレはほっとする

ゼイン殿下にも謝罪しなければと心に誓うスミレだった

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