想っていたのは私だけでした

エピローグ

「んん~」

悩ましげなスミレの声に、アルは理性が飛びそうになる

「スミレ?」

呼びかけるも返答はない

「寝ぼけているのか?はぁ~」


深くため息をつくも、どうしたものかと逡巡する

自身の下半身に熱が集まるのを感じ、早く動かなければとスミレの横側へと寝転がる

「!」

スミレはアルを抱き枕のように腕を回してきた


「スミレ、スミレ」

ゆさゆさと揺さぶるも起きる気配はない

「はぁ~」

深くため息をつきつつも、抱きつくスミレの寝顔をみる

「かわいい。はぁ…」


悶々としながらも、自身も疲れがどっと押し寄せてきたせいか、うとうとといつの間にか眠りについていた  


ゴワゴワして寝にくいので、せめて自身の上着だけでも脱ごうと、片腕づつ外して身体の下から抜きとるようにベッドの下へと落とした
 

アルは気付かなかった
その時、ポケットの中から、#ある物__・__#が飛びだしていたことに…


✳︎✳︎✳︎✳︎


「あたたた…頭痛い」


目を開けたスミレは2日酔いに悩まされていた

「これが2日酔いなのね」

と昨夜初めて飲んだお酒のことを思いだす

あの後、どうやって帰ってきたんだろう
自身の顔にさらさらと髪がかかっているのが気になった。

顔からどかした髪の色はシルバーだった  

白髪でもあったのかなとスミレは動揺する

が髪の元をたどると隣には、上着を脱いだアルが寝ていた


「ええっ!」

スミレはガバッと飛び起き驚愕する

「どういうこと!?」

寝起きで頭が働いてない状況で、布団の上に#スミレの下着__・__#があることに気がついた

 薄紫色のスミレのお気に入りの下着

「あーーーーーーーーーーー!」


スミレは酔った勢いで、アルと関係を持ったのだと思った
  その声を聞いてどうしたんだと目を覚ますある


パチっとスミレと目があった   


スミレの手にはレースのついた薄紫色の下着がある

どこか見覚えがある下着だ

「あ、それは!その」

何を動揺したのか、アルは本来の持ち主であるスミレから下着を取り返そうと手を伸ばした



「変態ー!」

 ピシャリと言葉を跳ねつけられてスミレは部屋を出て行った


✳︎✳︎✳︎✳︎
あの後、昨夜の出来事をスミレに話したアルは、スミレから迷惑をかけて申し訳ありませんと謝られ、誤解は解消した

しばらくすると殿下が小屋を訪れた

皆でお茶を飲むことになり、あの時と同様席につく。違うのは座る席が、アルとスミレが横並びで向かいに殿下という配置

「それで、アル、夕べはあの後どうしたんだ?」

昨日は騎士達に散々飲まされたとぼやく殿下にアルは平然と答える

「一緒に寝ました」


ゴホッとスミレがむせている


「なっ、はぁ!お前、やる時はやんだな」

「ち、ち、ち、ちがいます!寝ていません!」

殿下がスミレと同じ誤解をしていると思い、慌てて否定する

そんなことお構いなくアルは真顔で続ける

「何を言う?一緒にベッドで」


「あーーー!変なこと言わないでくださいアルさん、
酔ってしまって、まさか寝てしまうなんて」

頭を抱えるスミレ

「ふ~ん」

「だから、ほんとに隣で寝ただけなんです!」

ムキになって答えるスミレと平然としたアル

「だから、先程から私がそう言ってる」

「アルさんの言い方だと、誤解が生じます!」



ちょっとこっちに来いと殿下はアルを手招きした


耳元でスミレに聞こえないように

「アル、まさかと思うが、無理矢理押し倒したりはしてないよな?」


「押し倒して…ないのですが、そういった体勢にはなりましたが…誓って何もしていません!」

キリッと真面目に答えるアルに殿下は安堵する
 
「なんか、よく分からんが、とりあえずお前は、彼女に自分の気持ちを伝えることから始めろ。」


「自分の気持ちを…やってみます」

「あぁ、まぁ…がんばれ」

「スミレ、また来る」

小屋を後にして殿下は嬉しい気持ちになる

わが友のアルにも遅い春が訪れたことに

「私も…また彼女と…」

スミレに尋ねたい

カフェにいた女性のことを。

おそらく、彼女は…

まぁ、しばらくはアルとスミレのことをからかって遊ぶかな


嬉々として殿下は転移して去った

~fin~













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