Depend on…
「一般的……というのは可笑しいが、入手しやすいものから、入手困難なものまで……ここまで持っていれば立派なものだ。」
まだ3ヶ月目の椎名には初めて見る名のものもある。
樹はリストを持ったまま硬直していた。
「……俺が見たところ、あいつらは仲介だな。
下っ端にはあまり多くの種類を持たせないし、大元の持つオーラはないしな。」
「……量は?」
やがてリストに見入っていた樹が口を開いた。
「どれもあまり多くない。それがどうかしたか?」
「……いえ、何でも……」
眉間にそんなにシワを寄せてそんなことを言われても説得力がない。
と喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
「……何を考えてるんですか?」
取り調べに戻ると言う局長が部屋から出ていくと椎名は樹に聞いた。
「しぃちゃんの新しいあだ名。」
「……ふざけないで下さい。」
樹は答えず、代わりに机から煙草を取り出した。
火は必要ないことを椎名は知っている。
「可笑しいと思わないか?」
手元の煙草をペン回しのようにクルクルと器用に回す。
「正体不明の密告者、少量ずつたくさんの種類の薬を持った下っ端……」
「下っ端?でも局長は……」
下っ端ではないと言っていた。
「仲介だったらもっと大量に持って来るよ。
少しずつ売ることにメリットないし。
それに、予定の時間は過ぎていたのに、あの場所にはあの3人しかいなかった。
売人は時間には正確なのに……」
「つまり、あの3人は……」
「――スケープゴート」
樹の瞳が鈍く光り、椎名は息が詰まるような気がした――