Depend on…
薬物乱用は1人が捕まると、そこから売人や他の使用者の名が割れ、一斉検挙に繋がることが多い。
所謂、「芋づる」というやつだ。
「最近、電話が増えた気がするな。『ウチの子が』とか『友達が』とかいう相談。」
通信室から上がってきた資料に目を通しながら坂東が溜息をつく。
「本当にどうにかして欲しいなら、きちんと名乗って欲しいですよね!」
「周りも複雑なんだろう。
もう少し待てば自分で立ち直れるかもしれないと信じていたりな。」
ぼやく大阪を局長が宥める。
「ところで、樹ちゃんと椎名くんは?」
「例の件で動いて貰っている。」
例の件というのは、言うまでもなくあの3人の男に関することだ。
「またあの2人ですか……」
「そう腐るな。お前たちにもやって貰いたいことがある。」
「そうこなくっちゃ!ね、坂東さん!」
「お前ははしゃぎすぎだ。」
「この人物について調べて欲しい。」
差し出されたファイルを受け取り目を通す。
「……これって……」
「え?どういうこと?」
2人は戸惑いを隠せずに局長を見る。
局長は酷く悲しげな笑みで2人見つめていた。
「これは2人にしか頼めない……あの若い2人の未来を守るために我々が尽力を尽くさなければならないのだよ……」
そらは坂東たちに説いているようにも、自分に言い聞かせているようにも聞こえる呟きだった。
坂東も大阪も八王子の頼みを断るはずがなかった。
何故なら、彼らは、彼らこそがERSAだから。
八王子の背中を見続けて来たのだから……
「……任された。
俺はあんたに着いて行くって決めたから。
……これがどんな結果になろうとな。
俺は局長を信じるよ。」
そう言うと坂東は背広を片手に部屋を出て行った。
「相変わらず熱いなぁ……でも、俺も同意見ですね。
頼って頂き光栄です!」
大阪は大袈裟に敬礼して見せると小走りで飛び出して行った。
頼もしい2人の捜査官の背中に深く感謝すると八王子も自分のスーツに袖を通した――…