Depend on…


「それで、思い当たることって?」


「菱川の勤めていた介護ケアサービス、宮村の登録していた派遣会社の事業だったと思うんです。」


ERSAに戻った椎名と樹は、情報管理課に向かった。

情報管理課のデータベースは全国にあるERSAのデータはもちろんのこと、警察が保管するデータまでも網羅している。


パソコンの画面と向き合っていた椎名が、しばらくして「よしっ」と声を上げた。


その声で船を漕いでいた樹が目を覚ます。


「見つけましたよ!
……宮村も菱川も半年前に突然自主退社してます。」


「自主退社?この不景気に……?」


「大金が手に入ったか、体裁を守るために自主退社というかたちをとらせたか……」


「どっちにしろ、何か裏がありそうだね。
2人の身辺調査と会社へ聞き込みに――……」


「山添さん。」


意気込む樹に水を差したのは窓口にいるはずの女性事務員だった。


「うわぁっ、びっくりした……」


「すみません。内線が壊れているようで……」


「それでわざわざ呼びに来てくれたの?
悪かったね……それで?用件は――…?」


丁寧に受け答えてるようだが、言葉の端々に素っ気なさが見え隠れしている。


「良いところなんだから邪魔しないで」と言う声が今にも聞こえてきそうだ。


「……ロビーにお客様がお見えです。」


「来客〜!?もー…誰だよ……」


「制服を着ていたので高校生かと……」


「来客」に対して分かりやすい苛立ちを見せていた樹だったが、「高校生」と聞いた途端、態度が一変した。
< 42 / 85 >

この作品をシェア

pagetop