Depend on…
「だから、言い逃れ出来ないように追い詰めて吐かせるつもりだったのに……」
そこで、思わぬ邪魔――緋口が現れたのだ。
「だったら、あの人もグルですね。」
「あの女?」
樹が、やっと椎名の方を見た。
「……口が悪いですよ。
あの人、たまたま会話が聞こえて……って言ってましたけど、そんなはずないんですよ。」
「……分かるように。」
樹に睨まれて、椎名は慌てて続ける。
「あの部屋、応接室になってましたけど、しっかり防音設備が施されてましたから、廊下で俺達の会話を聞けるはずがないんです。」
「と言うことは……どっかで盗聴してたってことか!」
また悔しそうに唇を噛み締めている。
おそらく、緋口は椎名たちが部屋の防音設備にまで気がつくとは思っていなかったのだろう。
「やっぱり何か隠してるな。それに、内通者がいる。」
「俺達がゼノンに行くことを浅井に知らせていた人物、ですね。」
…――内通者。
要するに、裏切り者――…
我ながら嫌な響きだな、と苦笑する。
「……やっぱりERSA内にいるって考えるのが自然か……」
「意外ですね。貴女は身内は絶対に疑わないと思いました。」
「当然、ウチのチームは対象外だよ。」
何言ってんの?という表情で答える樹。
それはそうだろうと椎名も思う。
しかし……
「そんなに簡単に否定していいんでしょうか…――?」