Depend on…


「あれぇ?先輩方!

ここで何してるんすか?」


とりあえず一度、車に戻ろうと階段を下って行くと、途中で泰蔵にばったり会った。


「泰蔵こそ……!」


泰蔵の家がこの社宅でないことは2人とも知っている。


「誰かに会いに来たんだ?」


「そーっす!」


椎名の問いに泰蔵は笑顔で頷く。


「中学から一緒のヤツで……
あ、女子なんスけど。
家が色々事情あるみたいで最近学校来てねぇんスよ。
だから、ちょっと様子見に。」


そう言って菓子やら飲み物やらが入ったビニール袋を掲げる。


それを聞いて何かピンと来たのか、樹は隣の椎名を見た。


椎名も同じことを思ったようで2人の目が合う。


『それって――!』


言葉が揃ってしまったために、そこで一旦言葉が切れる。


樹がオホンと咳ばらいをし、仕切直すと改めて言った。


「その子は愛染って名前じゃないか?」


「え!?あっ、はい。
そうっす……何で分かったんスか?」


泰蔵は驚き、不思議そうに首を傾げている。
< 56 / 85 >

この作品をシェア

pagetop