Depend on…
「あれぇ?先輩方!
ここで何してるんすか?」
とりあえず一度、車に戻ろうと階段を下って行くと、途中で泰蔵にばったり会った。
「泰蔵こそ……!」
泰蔵の家がこの社宅でないことは2人とも知っている。
「誰かに会いに来たんだ?」
「そーっす!」
椎名の問いに泰蔵は笑顔で頷く。
「中学から一緒のヤツで……
あ、女子なんスけど。
家が色々事情あるみたいで最近学校来てねぇんスよ。
だから、ちょっと様子見に。」
そう言って菓子やら飲み物やらが入ったビニール袋を掲げる。
それを聞いて何かピンと来たのか、樹は隣の椎名を見た。
椎名も同じことを思ったようで2人の目が合う。
『それって――!』
言葉が揃ってしまったために、そこで一旦言葉が切れる。
樹がオホンと咳ばらいをし、仕切直すと改めて言った。
「その子は愛染って名前じゃないか?」
「え!?あっ、はい。
そうっす……何で分かったんスか?」
泰蔵は驚き、不思議そうに首を傾げている。