Depend on…
「……泰蔵、慣れてるね。」
「中学から一緒って言ってましたからね。
初めてじゃないんじゃないですか?」
「……うん。」
心なしか樹の表情が暗い気がしたが、その時はあまり気にしなかった。
樹は時計に目をやると少し考えて車に戻ろうと言った。
「彼に中の様子を聞くつもりなんですね。」
「うん。異変があったら教えてくれるでしょ。」
「……そうでしょうか?」
「どういう意味?」
椎名の疑問に樹が顔を上げた時、コンコンと車の窓が叩かれた。
「お待たせしました!」
明るい声に空気が和むのを感じる。
泰蔵を後部座席に乗せると近くのファミレスに移動した。
「あれ?それだけ?」
泰蔵が注文したのは飲み物とポテトだけだった。
時間はもう夕食時だ。
「もっと頼めば?」
方や樹はメニューの端から端までかと思うくらいの量を注文し、届くそばから平らげている。
「貴女は食べ過ぎです。」
樹を宥めた後で椎名は泰蔵を見る。
「遠慮しなくていいよ。育ち盛りなんだから。」
椎名の進言にも泰蔵は首を横に振った。
「外で食って帰ると怒られるんですよ。」
そう言われてしまっては無理に進められないので大人しく引き下がる。