Depend on…
「泰蔵、早速で悪いんだけど、愛染さん何か変わったトコなかった?」
自分の食事が一段落したところで、樹が本題を切り出した。
「変わったトコっすか?」
う〜ん……と腕を組み考える。
愛染宅でのことを思い返しているのだろう。
「特になかったと思うんスけど……何かあったんスか?」
「実は、愛染さんの――」
「何でもないよ。聞き込みに行ったら愛染さんのお母さん……かな?
そのお母さんの様子がちょっとおかしかったからさ。」
樹に話を遮られ、一瞬戸惑った椎名だが、そこは大人しく黙った。
樹が話を遮った理由は椎名にも分かった。
「……確かに、最近ちょっと様子がおかしいかもしれないっす……」
樹の言葉を聞いた泰蔵が、少し悩んで口を開いた。
「どういう風に?」
樹の目が鋭くなるのを感じた。
今回も樹が何を考えているか、またもや椎名は測りかねていた。
「なんか、思い詰めてるって言うか……」
そう言って俯く泰蔵の顔が今にも泣き出しそうに見えた。
――もし、この時、その表情の理由を問い質していたら、あんな悲劇は起こらなかったのだろうか――……
そう思わずにはいられないのだ……