Depend on…
「今日はありがとう。
ゆっくり休んで。」
泰蔵を家の前まで送ると、樹は助手席の窓から見送った。
「いえ!お二人ともお気を付けて!」
敬礼をして見せる泰蔵はいつもの泰蔵で、椎名は少し安心した。
「……先程は申し訳ありませんでした。」
EARSへの帰り道、椎名は運転を続けながら謝罪した。
相手が泰蔵だからと、捜査目的を軽い気持ちで口にしようとしたことへの謝罪だ。
「いーよ。大丈夫。」
「でも、意外でした。
彼にはそれなりの信頼を置いていると思っていました。」
「信頼してるよ。
でもね、今回は別。
愛染の家の娘は幼なじみだと言っていた。
深い情は状況を複雑にする。」
「まるで、経験者は語るって感じですね。」
椎名がからかい混じりに言うと、樹は笑うだけで何も言わなかった。