Depend on…
「あーっ!」
キキィイ−−−ッ
隣で樹が叫ぶので、椎名は驚いてブレーキを踏んだ。
幸い既にEARSの駐車場内で大事には至らなかったが、本当に驚いた。
「何ですかッ急に!!!?」
「忘れてた……」
「な、何をですか?」
「……電話」
「は?」
「電話だよ!」
そう言いながら慌てて携帯電話を取り出す。
「………あ〜っ!あの厭味女からの!」
そう言えば緋口が折り返し電話をすると言っていたのを思い出し、椎名も声を上げる。
すると、樹が吹き出し、声を出して笑い始めた。
「な、どうしたんですか?」
「しぃちゃん……っ
厭味女って、緋口のことでしょ?
言うねぇ!」
まさか、しぃちゃんの口からそんな言葉を聞くとは思っても見なかった、と樹は笑い転げる。
「そんなにおかしいですか?
貴女だっていつも……」
「いやいや、いいんじゃない?
初めて人間らしい一面を見た。」
樹の言葉に椎名は思いっきり怪訝そうな顔をする。
「貴女の言う人間らしさと言うのは、口の悪さなんですか?」
「違うよ。言葉に感情が乗ってるって感じが人間っぽいって」
息を整えながら、樹が言う。
そして嬉しいよ、と呟くように付け加えた。