Depend on…
「あれから、気になって彼女のことを調べたんだ。
そしたら、彼女のパートナーが次々に代わってる。
しかも皆、麻取りを辞めてるんだ。
そして、それぞれが辞めるきっかけになるような現場に遭遇している。
ある者はディーラーに、ある者は麻薬中毒者に襲われ……
一歩間違えれば命に関わるようなアクシデントに見舞われてるんだ。」
「……何が言いたい?」
椎名が聞き返すと、井原が呆れたように鼻で笑った。
「流石だねぇ……こんな話聞かされても顔色一つ変えないなんてな。
俺はお前の心配をしてるんだよ。
どう考えても次はお前の番だからな。」
「パートナーを辞めさせる事に何の利点があるんだよ。」
「単独行動の時間が増えるだろ」と井原は言う。
その言葉で井原の言わんとしていることが分かった。
「……彼女が内通者だと?」
「俺はそう睨んでる。
調べたら、定期的に通ってる所も見つけた。」
「どうして、そんなに彼女を疑うんだ?」
「だから、お前の身を案じてだな――……」
「本当にそれだけか?
じゃあ、何で彼女を疑った?」
「おいおい、椎名!
なんだよ?怒ったのか?
さっきも言っただろ?
気になったんだよ。
俺はどうも鼻が利くらしくてな。」
「怪しい奴は直感で分かるんだ」と得意げに言う。