Depend on…
「おはようございます!」
翌日。
いつもより少し遅かったが、樹がいつもの明るさで飛び込んで来たので、局長も坂東も安心したのが分かった。
「おはようございます。」
椎名が小さく微笑んで挨拶をしたので、樹は驚いて足を止めた。
「………」
「……何ですか?俺の顔に何か付いてますか?」
どうやら、今の笑顔は作ったものではないらしい。
本人には微笑んだ自覚がないようだ。
「何でもないよ!」
「何でもないのにニヤついてると……」
「あーもー!うるさいなー!
それより外に行こう!」
「外?」
「そう。ちょっと見ておきたい場所があるんだ。」
そう言う樹と向かったのは宮村がかつて職質を受けたというマンションだった。
「ここに何かあるんですか?」
「うーん……まだ仮説の段階だからなぁ……」
マンションを見上げる樹。
椎名も同様に見上げる。
高級マンションではない。
しかし、それなりの高層マンションだ。