Depend on…
「あのぅ……」
背後から控え目な声が聞こえて来て振り返る。
控え目なのではなく、恐る恐る、だ。
二人を不審に思っているらしく訝し気な面持ちだ。
「あぁ、すみません。山添樹と申します。」
言いながらERSAの身分証を提示する。
黒革の警察手帳によく似ているため、警察の人間と間違えられることが多い。
「あらま、警察の方だったの!」
ここでしっかり麻取りと名乗るか、面倒なので特に否定はしないかで分かれる。
どうやら樹は後者のようで特に訂正することはなかった。
樹に続き、椎名も名乗ると、声を掛けて来た女性もやっと少し安心したようだ。
「ちょっとお聞きしたいんですが、半年くらい前にこの辺りで怪しい奴、見ませんでした?」
何と言うおおざっぱな聞き込み……
椎名が呆れていると女性から反応があった。
「見たも何も通報したのは私よ。」