Depend on…
……何と言う幸運。
「わぁ!それはよかった!」
樹は女性の手を取り大袈裟に喜んで見せた。
「その時のこと、覚えてる限りでいいので教えて貰えませんか?」
「そうねぇ……」
女性は記憶を遡るように少し考えてから口を開いた。
「あの日の夜、男が一人うろついてるじゃない?
仕切に上を気にして30分以上もウロウロと……
声を掛けようか迷っていたらね、お巡りさんが通りかかったから、お願いしたのよ。
それで、よくよく顔を見てみたら、その日、真山さんの家にエアコンの取り付け工事をしに来てた人でねぇ……」
「なるほど……」
樹は真剣な眼差しで一点を見つめている。
「その真山さんにお話を伺いたいのですが……」
女性はこのマンションのオーナー夫人だった。
部屋に案内するだけなら、とエントランスに通してくれた。