契約婚していた御曹司と離婚する日になりました。だけど、彼は離婚したくないようです。
「あのね、陸斗さん。私は、一年間ずっと恋愛感情なんて無かったし……」
「今はどうなの?俺がこうしてるの、嫌い?」
陸斗さんが、指を絡める。どうしようもなく、胸の鼓動が早くなる。
「えっと……、あ、飲み物持って来ます!」
私は陸斗さんから離れようと、キッチンに向かった。そうして、コーヒーを作って戻って来ると、陸斗さんは私を切なそうに見つめる。私がソファに座ると、彼は私の肩に頭を乗せた。……密着されている。
ドキドキしているのを、気づかれたらどうしよう。恥ずかしくてたまらないかも知れない。
私は、ソファから立ち上がって、ダイニングの方に逃げた。そんな私の様子に、陸斗さんは落ち込んだ顔をして、私の背に言い放つ。
「花蓮さんは、俺と離婚したいの?」
肩がビクッとなった。答えを求められている。自分の今の気持ちを、正直に言うしかなかった。
「分からないです……。分かんないです。ずっと、お友達みたいに過ごしていたのに、急に恋愛みたいになって、どうしたらいいか……。だって、契約だったじゃないですか。それなのに……」
でも、私の体を、陸斗さんにふわりと包んでしまった。