拾いました。
「それじゃあ、私は藍(あい)さんとでも呼んでくれたら嬉しいわあ」
「……藍、さん」
にっこりと微笑んだお母さんは、緋刻の頬にふれて
「何があったのかは分からないけれど。いつか、いつか聞かせてね? 力になれるなら、なりたいの。……だから、お父さんも家に居ろって言ったんじゃないかしら」
「——っ! はい、ありがとうございます……っ」
「ふふ」
私には、最後の方が聞き取れなかったけれど。緋刻が笑っているように見えたので、聞き直さないことにした。
す……っと。おもむろに膝を付き、手を前に持っていく緋刻。
「ひ、緋刻くん?」
お母さんとお父さんは、困惑の眼差しを向けている。何をする気だろう…?
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言い、頭を深々と下げて。緋刻には申し訳ないが、心の中でこう思ってしまった。
狐の嫁入りならぬ、“狐の婿入り”みたいだと。
「あらあら」
「まあ、面倒をみてやらんことも、なくはないかも……」
と、続けて。
「緋刻くん」
「はい」
お父さんが緋刻を立たせ、一言。
「下を、はきなさいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「あの僕……服とか持っていなくて……」
「持ってない?! why?!」
そうして、わいわいとした雰囲気の中。狐と人間の、不思議な生活が始まった
「……藍、さん」
にっこりと微笑んだお母さんは、緋刻の頬にふれて
「何があったのかは分からないけれど。いつか、いつか聞かせてね? 力になれるなら、なりたいの。……だから、お父さんも家に居ろって言ったんじゃないかしら」
「——っ! はい、ありがとうございます……っ」
「ふふ」
私には、最後の方が聞き取れなかったけれど。緋刻が笑っているように見えたので、聞き直さないことにした。
す……っと。おもむろに膝を付き、手を前に持っていく緋刻。
「ひ、緋刻くん?」
お母さんとお父さんは、困惑の眼差しを向けている。何をする気だろう…?
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言い、頭を深々と下げて。緋刻には申し訳ないが、心の中でこう思ってしまった。
狐の嫁入りならぬ、“狐の婿入り”みたいだと。
「あらあら」
「まあ、面倒をみてやらんことも、なくはないかも……」
と、続けて。
「緋刻くん」
「はい」
お父さんが緋刻を立たせ、一言。
「下を、はきなさいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「あの僕……服とか持っていなくて……」
「持ってない?! why?!」
そうして、わいわいとした雰囲気の中。狐と人間の、不思議な生活が始まった