拾いました。
――……数時間前。

きっかけは。家族会議が終わり、部屋に戻ってから言った私の一言。


「緋刻。これからは……い、一緒に住むんだし、分からないことがあったら何でも聞いてね」

「華留……」

「ほ、ほら! 分からないことがあると不便でしょ? だから、ね!」

「うん、ありがとう……」


そう言って目を細める緋刻に、釘付けになってしまった。


「……華留?」

「え? わ、な、何でもないよ!!」


慌てて取り繕うも心臓さんは、いつまでも収まらないまま。

くいくい

袖を引っ張られたので振り返ると。


「華留……これ、何?」


緋刻が手に持っていたのはシャープペンシル。


「それは“シャープペンシル”っていう名前で、文字を書くための物だよ。こうやって、上の部分を押して、芯を出してから使うの」


実際にやると、緋刻は目を輝かせて凝視していた。


「凄い……人間て凄いんだね……」
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