拾いました。
次に緋刻が興味を示したものは。


「華留、このでっかいの何……?」

「それは“テレビ”だよ。この“リモコン”で操作して、色んな番組が見れるの」


ピッ

リモコンを操作し、テレビをつけると。


「奥さんほんまかいな! そんなら……」


びくうっ


「え? え? な、何、これ……?」


いきなり大音量で流れたお笑い番組に、驚く緋刻。


「人が中で喋ってる……」


画面をつんつん、とつつきながら。


「……不思議」

「しばらく見てる?」

「うん、見たい…」


緋刻は、表情があまり変わらないけど。今は何となく、楽しそうな気がする。良かった。

それから暫く、二人でテレビを見ていた。だけど、私が動いた拍子に番組を変えてしまって。

ぱっ


「貴方を、愛してるわ……」

「俺もだ……」

「!!!!」


恋愛ドラマああああああああああああああああああああ!!!!!!

急いで番組を変えようと、リモコンに手を伸ばす。だけど。ひょいっ、と緋刻に奪われてしまう


「ちょっ?! 貸してー!」

「だめ……」


右に左に上に下に。どれだけ追いかけてもリモコンが取れない。

こやつ、やりよる。
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