拾いました。

◯よん

ぐすっ ぐすん

鼻をすする音と、泣き声。暗く、誰もいない森の奥。


「ねぇ、だいじょうぶー?」


突然現れた女の子が、声を掛けた。

ぴたり、と。止む泣き声。


「きみ、だあれ……?」


首を傾げる男の子。

にこっ

顔ははっきりと見えないが、口元からして笑ったのだろう。


「あたし? あたしは……――」
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