拾いました。
まどろみから、現実へ引き戻されるあの感覚。


「……あれ、夢?」


夢にしては、ずいぶんとはっきりしてたような。それにあの景色、どっかで見たことある気が…もしかして小さい頃の記憶?

ズキッ


「いっ! たた……」


突如来た痛みに、眉を寄せた。


「やっぱりだめかあー」


そう。私は、小さい頃のことを思い出そうとすると、頭が針で刺されるような痛みに襲われる。その原因が何なのかは、分からない。


「気になるなあほんと…」


今、気になることは二つ。緋刻のこと、そして今の夢のこと。どうしてだろう、関係ないようには思えない。


「……ん? 緋刻?」


そういえば、どこに行ったのだろうか。辺りを見回しても居ないみたいで。


「……」


もしかして。……やっぱりいた


恐る恐る覗いた布団の中。同じ布団の中で、すぴすぴと眠る緋刻。

わーお☆ 何て可愛らしいことでしょう。——じゃないだろうよ。
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