拾いました。
「ふう…」



それなら話が早い(何が)。

くるり

ばんっ

どだだだだ

がしっ

どだだだだ


「服を、着ろおおおおおっ!!」


ひゅんっ


「いあっ」


※解りづらいので説明を。

①部屋から出るため踵を返す。

②ドアを開け一階へ全力疾走。

③洗い済みの洗濯物の一番上にあった、父親のTシャツを鷲掴む。

④二度目の全力疾走。

⑤叫びながらTシャツを男の顔面目掛けて投げる。

⑥顔面にストライク、バッターアウト。

体力ないので、息が上がってへろへろです。酸素ボンベ下さい……。


「……ありがとう」


顔からぽさっと下に落ちたTシャツを拾いながら、零した。


「いえ、いつまでもその格好でいられると困りますから……」


……ん? よく考えればTシャツだけじゃ駄目だよね。焦ってて、他の物も持ってくるの忘れた……。そんなことを考えているとも知らず。男は、のそのそとTシャツを着始める。

あれ。そういえば、何か忘れているような……?


「……狐」

「んー…?」

「狐! 狐、居ませんでしたか? 中くらいの大きさで、包帯が巻いてあったと思うんですけど……」

「あ……、それなんだけど」


良かった、居たんだ! 動けるってことは、怪我も大丈夫なんだろうか。良かった——……。

そう思い、ほっとしたのも束の間。


「俺、なんだけど……」
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