拾いました。
……はい?

今、何と言ったのですか? 『俺、なんだけど…』?

はいいぃいぃぃぃい?!?!

服を着終えた男はベッドから立ち上がる。そして、いまだ理解できず、棒立ちでいる私の側に寄ってきた。

……あ。Tシャツだけじゃ危ないかと思ったけど、意外と小柄なんだ。シャツの丈が膝より少し上くらいまである。なんて、呆けたことに現実逃避していたら。


「華留……」


そう呟きながら。

ぎゅうぅ……っ


「ひぇ?!」


再び、抱きしめてきた。


「待って待って?! まだ色々聞きたいことがあるんだから!! 『狐は俺』って、信じられるわけないでしょ! だいたい、何で人ん家に勝手に居るの?! 自分の家に帰りなさいよ! 自分の! 不法侵入で、本当に警察呼ぶよ?! 私が連れてきたのは狐、動物なの! 貴方、人間じゃない!!」


ぎゃあぎゃあ、わあわあ。腕の中でひとしきり暴れると、男が腕を離し、ちょこんと床に座った。


「ちょ、ちょっと……」

「一緒に居たいんだ」

「へ」

「華留の傍に、居たいんだ。だから俺をここに居させて?」


うん????
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