色褪せて、着色して。~リリアン編~
セシル・マルティネス・カッチャー
私の本名。
だけど、この名前を知る人は夫の太陽様ぐらいだと思う。
…いや、太陽様ですら私のこと「セシールさん」と間違えていたくらいだからなあ。
この国では身分の高い者は本名を明かしてはいけない決まりがあるそうで。
私は、普段。「マヒル」という名前で生活している。
表向きは隣国、スカジオン王国の王族であり。
人質として、この国にやって来て。国家騎士である太陽様と政略結婚させられた。
そして、その美貌から国王に気に入られ国王の寵姫でもある。
…という、とんでもない筋書きが出来上がっている。
実際、私はスカジオン王国の王族ではない。
玉の輿結婚を夢見ていたけど。悪役令嬢呼ばわりされて。
国に居ることは難しくなって。幼なじみであるテイリーに助けてもらって。
この国にやってきた。
だけど、そこから色々ありすぎて、こじれて。
結婚して、王家の領地に住み着き。
ルピナス様にピアノを教える仕事をしていた。
ティルレット王国の王族は全部で6人。
国王であるローズ様と他国からお嫁にやってきたお妃様。
ローズ様の弟である、蘭様とその奥方であるカレン様。
蘭様とカレン様のお嬢様であるスズラン様と、ご子息であるルピナス様。
ルピナス様は、真っ黒な髪の毛に真っ白な肌。
驚くのは大きなサングラスをかけて。言葉を発しないということだ。
事情があるのだろうな…と思って聞かないではいたけど。
ローズ様が教えてくれたルピナス様の秘密。
ルピナス様の瞳はオッドアイで。
片目はカレン様と同じ紫色の瞳、もう片方の目は蘭様やローズ様と同じ青色の瞳をしている。
何故、サングラスをして目を隠しているかと言えば。
この国ではオッドアイは不吉だからだそうだ。
あんなに美しい瞳なのに、不吉と言っている奴はどれだけ頭が固いのだろう?
いつだったか、ローズ様が言っていた。
「抱えているものが大きい」と。
それが原因でルピナス様は喋れないのだろうか。
それとも、あえて私の前だけ喋らないのだろうか。
悶々としても、答えが出るわけでもなく。
翌日になると、バニラが偵察に行ってくれて。
「鐘の音の後、王子様が見つかったそうですよ」と教えてくれた。
私の本名。
だけど、この名前を知る人は夫の太陽様ぐらいだと思う。
…いや、太陽様ですら私のこと「セシールさん」と間違えていたくらいだからなあ。
この国では身分の高い者は本名を明かしてはいけない決まりがあるそうで。
私は、普段。「マヒル」という名前で生活している。
表向きは隣国、スカジオン王国の王族であり。
人質として、この国にやって来て。国家騎士である太陽様と政略結婚させられた。
そして、その美貌から国王に気に入られ国王の寵姫でもある。
…という、とんでもない筋書きが出来上がっている。
実際、私はスカジオン王国の王族ではない。
玉の輿結婚を夢見ていたけど。悪役令嬢呼ばわりされて。
国に居ることは難しくなって。幼なじみであるテイリーに助けてもらって。
この国にやってきた。
だけど、そこから色々ありすぎて、こじれて。
結婚して、王家の領地に住み着き。
ルピナス様にピアノを教える仕事をしていた。
ティルレット王国の王族は全部で6人。
国王であるローズ様と他国からお嫁にやってきたお妃様。
ローズ様の弟である、蘭様とその奥方であるカレン様。
蘭様とカレン様のお嬢様であるスズラン様と、ご子息であるルピナス様。
ルピナス様は、真っ黒な髪の毛に真っ白な肌。
驚くのは大きなサングラスをかけて。言葉を発しないということだ。
事情があるのだろうな…と思って聞かないではいたけど。
ローズ様が教えてくれたルピナス様の秘密。
ルピナス様の瞳はオッドアイで。
片目はカレン様と同じ紫色の瞳、もう片方の目は蘭様やローズ様と同じ青色の瞳をしている。
何故、サングラスをして目を隠しているかと言えば。
この国ではオッドアイは不吉だからだそうだ。
あんなに美しい瞳なのに、不吉と言っている奴はどれだけ頭が固いのだろう?
いつだったか、ローズ様が言っていた。
「抱えているものが大きい」と。
それが原因でルピナス様は喋れないのだろうか。
それとも、あえて私の前だけ喋らないのだろうか。
悶々としても、答えが出るわけでもなく。
翌日になると、バニラが偵察に行ってくれて。
「鐘の音の後、王子様が見つかったそうですよ」と教えてくれた。