生徒会長サマ

部長

「………私じゃ無理だよ」

「先パイ?」



ぐすぐすと泣いている私。

それは中学2年生の夏だった。

最後の大会も終わり、引退した3年生から部長という大役を任される。

部長はその2か月後にひかえる新人演劇コンクールで主演をすることになっている。

しかも演じるのはロミオとジュリエットのヒロイン、ジュリエット。

ジュリエット役になった女の子は衣装を自分自身でつくり、ティアラは学園で代々引きつがれているのをかぶるという決まりがある。

私にはそんな大役こなす自信がない。



「部活、やめたい…」



そう呟く私。

目を擦るとハンカチを持った手が横からのびてきた。



「はい、ハンカチ。あんまり擦ると腫れますよ。センパイ、ただでさえ酷い顔してんだから」



悪口を混ぜながらも私を慰めるように笑う彼。
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