先生〜あたしに愛を教えてくれた人〜
5 立ちはだかる壁
◇美里side◇
「ただいまあ〜。」
重い足取りで家に帰るとそこにはお父さんとお母さんが居た。
顔を見るのは何ヶ月ぶりだろう。
同じ家に住んでいても顔をあわせる事がなかったから…
あたしは嬉しくなった。
けど、次の一言でそれは一気にくつがえされた。
「なにぼけーっと突っ立ってんのよ。今日はあたしたちの結婚記念パーティーがあるの。あんたを連れてく気はなかったけど…。一緒に行かなきゃいけなくなったの。だから早く支度して来て。」
結婚記念パーティー………??
そっか、毎年やってるもんね。
"あんたを連れてく気はなかったけど…。一緒に行かなきゃいけなくなったの。"
お母さんの言葉が頭から離れない……。
先生……あたし、もうよくわかんなくなっちゃったよ。
あたし強くないから、お母さんに言われただけでこんなにも心が痛いよ。
強くなりたい…――――
あたしの目から涙が溢れてきた。