【マンガシナリオ】シークレット・ラブ。
第一話「幼なじみからの恋人宣言」
(回想シーン)
〇学校の廊下、生徒が集まっている
生徒1「ねぇ、あれ見て。噂の“幼なじみカップル”よ♡」
生徒2「ほんとだ〜!高比良先輩に彼女って聞いてショック受けたけど幼なじみの小鳥遊先輩なら許しちゃうな〜」
放課後の昇降口廊下である有名な2人をみんな見つめている。女子生徒はコソコソ話しながら、男子生徒は興味津々に見ていた。
琴夏「ね、ねぇ……。めちゃくちゃ見られてるけど……本当にこれでいいの?」
廊下の真ん中を歩く小鳥遊琴夏は不安そうに顔を上げる。隣を歩く高比良北星は琴夏の手を恋人繋ぎにした。その行動に琴夏は驚く。
北星「当たり前だろ。これも“作戦”のひとつだ。いいか?これはお前のためでもあるんだ」
琴夏「……わ、わかってるけど……」
琴夏を見ながら自信満々に答える北星。北星は堂々と歩いているが、琴夏はますます縮こまる。
ずっと憧れていた恋人繋ぎだったのに恥ずかしさが勝ってしまう琴夏。
琴夏「(確かに私はこの作戦に乗ったけど……いくらなんでもやり過ぎよ!)」
心の中でつぶやく。琴夏は顔を下に向けながら北星の隣を歩いて行った。
(回想シーン終わり)
〇数日前の放課後、空き教室の前
日直だった琴夏は放課後、遅くまで残っていた。太陽が傾き始めた頃。ある空き教室の中から声が聞こえた。
琴夏「(こんな遅い時間にいったい誰だろう。そろそろ下校時刻になるけど……)」
琴夏は好奇心に勝てず、こっそりと中を除く。中を除くとそこには見覚えのある人がいた。そこには男女2人きりで、向かい合っている。
琴夏「(……え?あれって北星?まさか、告白の呼び出し!?わたしとんでもないとこ来ちゃった!?)」
中にいる男子生徒は琴夏の幼なじみである高比良北星。北星はイケメンで優しくて、スポーツも勉強もできる、とにかく女子にモテる男子。
幼なじみの琴夏から見てもかっこいいと思うほどのイケメン。
北星「……で?こんな所に呼び出してなんの用?」
中からの会話は意外と丸聞こえ。北星のため息と共に言葉が吐き出される。
琴夏「(うわー……。女の子に対してあの態度はないわ。これだからイケメンは……。というか、女の子の方は学年一可愛いと言われている月島楓和ちゃんじゃない!?)」
心の中で騒ぐ琴夏。北星の態度に幻滅しながらも事の行方を見守っていた。心臓をドキドキさせながら除く琴夏。
楓和「あ、あの……。ずっと前から、北星くんのことが好きでした!わたしと付き合ってください!」
琴夏「(い、言ったー!告ったよ、今!さぁ、北星はなんて返事する!?)」
琴夏の心の中はプチお祭り状態。今まで告白されてもバッサリ振る北星は、彼女がいたことは無い。
琴夏も今までは特に幼なじみとしてしか見ていないから恋愛感情は一切なかった。
この光景を野次馬感覚で見ていた琴夏。
北星「……あー、悪いけど無理。俺好きなやついるから」
楓和「……え?な、何それ!初めて聞いたんだけど!好きなやつって誰よ!?」
北星の衝撃的な発言に豹変する楓和。琴夏も驚き思わず後ずさり。
琴夏「(ほ、北星に好きな人いたんだ……。だから今までの告白は断っていたのかな?)」
衝撃的な発言に驚きながらも頭の中で考える。すると、突然目の前のドアが開いた。
琴夏「きゃあああ!ほ、北星!?」
楓和「……きゃあ!なんでここに小鳥遊さんがいるの!?」
突然のことで驚く琴夏。目の前には北星がいて、名前を叫ぶ。楓和も私の存在に驚き、叫ぶ。なんでふたりがここにいるのか分からない琴夏は目を瞬かせる。
北星は琴夏の存在を知っていたのか知らなかったのか分からないが、琴夏の腕を掴み自分の方へ引き寄せた。
琴夏「ほ、北星!?い、いきなり何!?」
北星「俺の好きなやつコイツ。だから、お前とは付き合えない。悪いな。今日からコイツ……琴夏と付き合うから」
琴夏と楓和「はぁぁぁぁぁ!?」
2人の声が廊下に響く。突然の北星からの恋人宣言。北星の腕の中に包み込まれながら、琴夏は顔を真っ赤に染めていた。