私がヤンキー校の勝利の女神!?
6
今日は勉強会。両親や兄は仕事で朝からいない。
その朝のうちに掃除を終わらせ、飲み物やお菓子を用意。
家族には友達と勉強会をうちですると話しているので、何か探りを入れられる心配もないだろう。
少し早めにお昼ご飯を食べて、リビングで待機。
今か今かと時計や窓の外を何度も見てしまう。
友達と言ってはいるが、正直そこまで親密な仲ではないと感じている。そのため、不安がそこそこあるわけだ。
眞大君と2人でないだけマシな気もしてくる。
そのくらい眞大君の行動は私には刺激が強いのだ。
ピンポーンとインターホンが鳴り、すぐさま玄関まで駆け足でいき、扉を開ける。
「い、いらっしゃい……てあれ、一矢さん!?」
「俺がいたらわりーかよ」
眞大君と天海さんを見て、その後ろにはなんと一矢さん。
眞大君に勝たないと兄に会わせないと言ったが、住所を知られてしまった。
その場合、会わせないようにするのは難しいのではないかという気がしてくる。
「どうして一矢さんが……?」
「こいつ、喧嘩ばっかしてるから成績がやばいんだって。ダサいよな〜」
「退学になったら学校で1番をとることさえ叶わないからね。僕が誘ったんだよ」
成績が悪いからと兄に会わせろとうるさい人を呼ぶのはどうなんだろうと考えていると、一矢さんと目が会う。
私の考えを悟ったのか、仏頂面で言った。
「……心配すんな。住所がわかったからって無断でお前の兄貴に会うことはしない」
「意外と律儀なんですね……」
「約束だからな。そんなことも守れないなんて、それこそダセーだろ」
律儀。と言う言葉に反応して一矢さんは眉間にシワを寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
いつまでも玄関で話しているわけにも行かず、3人を家へとあげる。
リビングへと誘導し好きな席に座ってもらうよう促した。
その間に私はキッチンで4人分のお茶を用意してリビングへと戻る。
「今は僕のものなんだから、一華の隣は僕の場所だろう?」
「こう言うのは早い者勝ちでしょ」
なぜか眞大君と天海さんが私の隣の席争奪戦を始めている。
そんな中、一矢さんはすでに私の前の席に座って付箋だらけのノートを手に持っていた。
「えっと、喧嘩はやめてじゃんけんでお願いしますね……?」
持って来たお茶をテーブルに置いて自分の席として荷物を置いておいたソファに座る。
2人は私の言った通りじゃんけんを始め、勝ったのは眞大君だった。
私の隣に座り、眞大君は何事もなかったように「勉強を始めようか」とプリントを取り出した。
「眞大君、これなに? 今日は宿題なかったよね?」
「先生達にお願いして作ってもらった試験対策のプリントだよ」
「そんなのアリ?」
「一矢が勉強会に参加するって話したら喜んで作ってくれたんだ」
「俺をダシにするな」
そんなことを言いながら、全科目のプリントを受け取った一矢さん。
全ての科目の内容を簡単に確認した後、眉間にシワを寄せ口をへの字にしている。
「わからないって顔してるね」
「授業参加してないからですよ」
「オレは授業参加してなくてもできるけどね」
「マウント取るな! 俺とお前らのレベルを一緒にするんじゃねー!」
一矢さんは私たちの隣のクラスで2-2。
2年は3組まであり、その中で2-3よりマシだが2-1よりも劣る。
良くも悪くも真ん中ということになる。
でも、その真ん中でも成績が悪くて退学になりそうなんだ……。
3組はどうなっているのか少し興味が湧いてしまった。
「まずこれを制限時間まで解いて、わからなかったところは分かるまでやるってことで」
眞大君は全員にプリントを配り終わった後、有無も言わさず時間を指定して問題を解くように促した。
扱いが慣れているなと感じた瞬間だった。
粗方解き終わって顔を上げると、まだ時終わっていないのだろう。頭を抱えて苦しそうな表情をしている一矢さんが目に入る。
その隣の天海さんは、すでに解き終わっているのかソファに横たわり眠ってしまっている。
となると私の隣にいる眞大君はすでにすべて終わらせているのではないかと横を向けば、余裕の微笑みでこちらを見ている姿が目に飛び込んで来た。しかも結構顔が近い。
「びっっくりした……」
「暇だったからつい」
現代文が苦手と言っていたが、こんなに余裕を持て余しているのなら、自力でそれらしいことを書いて丸をもらえてそうなものだ。
私や他の人のために勉強会を開いた可能性もありそうだ。
「眞大君は学校全体の成績と強さを上げたいの?」
「あれ? バレてたんだ。そうだよ。誰も僕に勝てないから退屈でね」
まずは周りの成績や喧嘩の強さの底上げを考えていたのだとか。
ちょうどよく最強の兄を持つ私が転校してきたことで、今こうして勉強会を開いていると。
「時間になったね。一矢、解けてなくても一旦そこでやめてね」
「……」
一矢さんは素直にシャーペンを置き、お茶を飲んだ。
そして眞大君を睨む。
「来年3-1になってやる……」
「このままだと無理だとは思うけどね」
一矢さんの解いた解答を眺めながら、眞大君は容赦なく言い放つ。
隣で見ていたが、暗記系の科目は得意のようでかなり正解が多い。
「これから、こいつに全部教わるからいいんだよ!」
私を指差し一矢さんは「教えろ!」と睨んでくる。
てっきり私には教わりたくないからと眞大君に頭を下げるものだと思っていた。
「私!? 眞大君に教わるのが1番かと……」
「裏正は教えるの下手だから嫌だ」
「下手って……君ねぇ。それは基礎くらいわかると思って省略してるからだよ」
その発言に一矢さんは、青筋を立てて怒ったのだった。
その朝のうちに掃除を終わらせ、飲み物やお菓子を用意。
家族には友達と勉強会をうちですると話しているので、何か探りを入れられる心配もないだろう。
少し早めにお昼ご飯を食べて、リビングで待機。
今か今かと時計や窓の外を何度も見てしまう。
友達と言ってはいるが、正直そこまで親密な仲ではないと感じている。そのため、不安がそこそこあるわけだ。
眞大君と2人でないだけマシな気もしてくる。
そのくらい眞大君の行動は私には刺激が強いのだ。
ピンポーンとインターホンが鳴り、すぐさま玄関まで駆け足でいき、扉を開ける。
「い、いらっしゃい……てあれ、一矢さん!?」
「俺がいたらわりーかよ」
眞大君と天海さんを見て、その後ろにはなんと一矢さん。
眞大君に勝たないと兄に会わせないと言ったが、住所を知られてしまった。
その場合、会わせないようにするのは難しいのではないかという気がしてくる。
「どうして一矢さんが……?」
「こいつ、喧嘩ばっかしてるから成績がやばいんだって。ダサいよな〜」
「退学になったら学校で1番をとることさえ叶わないからね。僕が誘ったんだよ」
成績が悪いからと兄に会わせろとうるさい人を呼ぶのはどうなんだろうと考えていると、一矢さんと目が会う。
私の考えを悟ったのか、仏頂面で言った。
「……心配すんな。住所がわかったからって無断でお前の兄貴に会うことはしない」
「意外と律儀なんですね……」
「約束だからな。そんなことも守れないなんて、それこそダセーだろ」
律儀。と言う言葉に反応して一矢さんは眉間にシワを寄せたが、それ以上は何も言わなかった。
いつまでも玄関で話しているわけにも行かず、3人を家へとあげる。
リビングへと誘導し好きな席に座ってもらうよう促した。
その間に私はキッチンで4人分のお茶を用意してリビングへと戻る。
「今は僕のものなんだから、一華の隣は僕の場所だろう?」
「こう言うのは早い者勝ちでしょ」
なぜか眞大君と天海さんが私の隣の席争奪戦を始めている。
そんな中、一矢さんはすでに私の前の席に座って付箋だらけのノートを手に持っていた。
「えっと、喧嘩はやめてじゃんけんでお願いしますね……?」
持って来たお茶をテーブルに置いて自分の席として荷物を置いておいたソファに座る。
2人は私の言った通りじゃんけんを始め、勝ったのは眞大君だった。
私の隣に座り、眞大君は何事もなかったように「勉強を始めようか」とプリントを取り出した。
「眞大君、これなに? 今日は宿題なかったよね?」
「先生達にお願いして作ってもらった試験対策のプリントだよ」
「そんなのアリ?」
「一矢が勉強会に参加するって話したら喜んで作ってくれたんだ」
「俺をダシにするな」
そんなことを言いながら、全科目のプリントを受け取った一矢さん。
全ての科目の内容を簡単に確認した後、眉間にシワを寄せ口をへの字にしている。
「わからないって顔してるね」
「授業参加してないからですよ」
「オレは授業参加してなくてもできるけどね」
「マウント取るな! 俺とお前らのレベルを一緒にするんじゃねー!」
一矢さんは私たちの隣のクラスで2-2。
2年は3組まであり、その中で2-3よりマシだが2-1よりも劣る。
良くも悪くも真ん中ということになる。
でも、その真ん中でも成績が悪くて退学になりそうなんだ……。
3組はどうなっているのか少し興味が湧いてしまった。
「まずこれを制限時間まで解いて、わからなかったところは分かるまでやるってことで」
眞大君は全員にプリントを配り終わった後、有無も言わさず時間を指定して問題を解くように促した。
扱いが慣れているなと感じた瞬間だった。
粗方解き終わって顔を上げると、まだ時終わっていないのだろう。頭を抱えて苦しそうな表情をしている一矢さんが目に入る。
その隣の天海さんは、すでに解き終わっているのかソファに横たわり眠ってしまっている。
となると私の隣にいる眞大君はすでにすべて終わらせているのではないかと横を向けば、余裕の微笑みでこちらを見ている姿が目に飛び込んで来た。しかも結構顔が近い。
「びっっくりした……」
「暇だったからつい」
現代文が苦手と言っていたが、こんなに余裕を持て余しているのなら、自力でそれらしいことを書いて丸をもらえてそうなものだ。
私や他の人のために勉強会を開いた可能性もありそうだ。
「眞大君は学校全体の成績と強さを上げたいの?」
「あれ? バレてたんだ。そうだよ。誰も僕に勝てないから退屈でね」
まずは周りの成績や喧嘩の強さの底上げを考えていたのだとか。
ちょうどよく最強の兄を持つ私が転校してきたことで、今こうして勉強会を開いていると。
「時間になったね。一矢、解けてなくても一旦そこでやめてね」
「……」
一矢さんは素直にシャーペンを置き、お茶を飲んだ。
そして眞大君を睨む。
「来年3-1になってやる……」
「このままだと無理だとは思うけどね」
一矢さんの解いた解答を眺めながら、眞大君は容赦なく言い放つ。
隣で見ていたが、暗記系の科目は得意のようでかなり正解が多い。
「これから、こいつに全部教わるからいいんだよ!」
私を指差し一矢さんは「教えろ!」と睨んでくる。
てっきり私には教わりたくないからと眞大君に頭を下げるものだと思っていた。
「私!? 眞大君に教わるのが1番かと……」
「裏正は教えるの下手だから嫌だ」
「下手って……君ねぇ。それは基礎くらいわかると思って省略してるからだよ」
その発言に一矢さんは、青筋を立てて怒ったのだった。