元カノが結婚するらしい。
「そうやって私のこと、お前って呼ぶとこが嫌いだったの」

「でも、滴をまだ好きな私も、大概か…」

左手の薬指には、婚約指輪も、これからつける予定の結婚指輪もなくて…

ただあの頃、滴がくれたオモチャの指輪が、色褪せながら、それでもなお、輝いていた。



「好きだったよ。好きだったけど、あなたとじゃ生きていけないと思ったの…」



私はオモチャの指輪を、雪が降り始めた真っ白な空へ放った。
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