ヤンデレ後輩男子の底なし溺愛包囲網からは逃げられない【一話だけ大賞参加作品】
 彩絵は敬弥とは同期であり営業と営業事務の関係でもあるから、なにかと彼と接触があり、仲良くしている。
「北影さんも言ってやってくださいよー。合コンなのにオシャレはこれが限界って言うんですよ」
「あー」
 敬弥は彩絵の全身を見て顎に手をやる。
「あきらめたほうがいいな、これは」
「悪かったわね、ださくて」
「ダサいというか、地味。それにお前は男をわかってないからやばい。いろいろ鈍感すぎる」
 敬弥に一刀両断され、彩絵はうっと胸を押さえる。
 モテたいわけではないが、そこまではっきり言われるとショックだ。
「だけど先輩の個性ですから」
 すかさず陽希がフォローを入れてくれて、彩絵はさすが翠山くん、と思った。
「ですけど男をわかってないのは同意です。合コンは辞めた方がいいですよ」
「そんなに駄目なんだ」
 上げたあとにとどめを刺され、彩絵はがくりと肩を落とす。
「駄目ですよ、逃がしません。今日は絶対に来てもらいますからね!」
 希璃子は彩絵の腕をがっしりと掴む。
「うん、約束に穴を開けるわけにはいかないもんね」
「小美地さん、まさか幻の御曹司を狙ってたりしませんよね?」
 ふと思う出したように希璃子が言う。
「この社のどこかに御曹司が身分を隠して働いてるって噂の?」
「噂だけが先行してるやつだな」
 彩絵に続いて敬弥が言う。
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