花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー
「この度はご愁傷様でした。」
低く通る声で葉山はそう言って頭を下げた。
「こちらこそわざわざお越し頂き、ありがとうございます。」
それだけ言うと、環はまた黙り込んだ。
「稲沢君にお線香を上げさせて頂いてもよろしいでしょうか。」
そう葉山に尋ねられ、環はハッとして立ち上がった。
「是非・・・兄も喜ぶと思います。」
小さなボックスの上に兄、太一の遺影と位牌、そして線香立てが置かれている。
葉山は線香に火を付け供えると、恭しく手を合わせ、目を閉じ、しばらく同じ姿勢を崩さず祈りを捧げていた。
その広い背中をただ呆然と環は眺めた。