花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー
一緒に暮らしていた兄の太一が交通事故で亡くなったのは二週間前。
環に連絡がきたのは、太一が病院へ運ばれた深夜のことだ。
虫の息だった太一が天に召されたのはその日の早朝だった。
29歳の環と3歳差の太一は、たった32年で人生の幕を閉じたのだった。
原因は太一を助手席に乗せて運転をしていた、太一の親友である寺島勇次の飲酒運転による暴走だった。
ガードレールに激突した車は激しく破損し、太一も寺島も致命傷を負った。
どうして飲酒をした寺島勇次の車に太一が乗ったのか、環はいまでも解せないでいる。
太一は飲酒をしないどころかアルコールの匂いも苦手で、飲み会ではウーロン茶しか飲めないとよくぼやいていた。
やっと顔を上げた葉山は沈痛な表情を浮かべていた。