花言葉はピュア ー敏腕社長は百合のような彼女を守り抜くー


ふと疑問に思ったことを環は口にした。

「あの・・・葉山さんは、どこで兄の訃報を・・・?」

「僕は稲沢君と寺島君の高校時代の同級生です。訃報もその関係で聞きました。」

「そうだったんですね。」

太一の交友関係を環はほとんど知らない。

かろうじて高校時代からの親友だった寺島の名をときたま聞くくらいだった。

「ringという会社はどのような・・・?」

何か会話を続けねばならないと思い、環がテーブルに置かれた名刺に目を落としながら尋ねると、葉山は少しだけ口元を引き上げた。

「生活雑貨全般を取り扱っています。老若男女誰でも手に取って頂けるようなシンプルで使いやすい雑貨を開発し販売する会社です。いま店舗も都内数カ所で展開しています。」

「あ・・・。そういえば見かけたことがあるかもしれません。淡いベージュ色の看板のお店ですよね?いつも使う駅の近くに素敵な雑貨屋さんがあるなって気になってました。」

「知ってもらえていたなら光栄です。」

葉山が柔和な笑顔を浮かべた。
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