オレンジじゃない夕方longVer.







 学校という場所は不思議だ、とたまに思う。
 思っている事はバラバラなのに、みんなおんなじ服装をして、授業では決められた様な一様の受け答えをする。
 思春期を集団で過ごすのは将来の社会生活に良いらしい。

  

 チャイムが鳴って、教室に担任の宇多先生が入って来た。
 宇多先生はいつも茶色のシャツを着ている。
 宇多先生は挨拶をする前に黒板の隣にあるロッカーを開けた。


 待っている生徒達に、先生は棚からお手製のくじの箱を取り出して掲げて見せた。



「今日は席替えをします。」



 私は取り立ててどの席という希望もなく、片肘をついて黒板を見ていた。

 あえて言うなら窓際が良い。



 回ってきたくじの数字を黒板で探すと、席は廊下側の一番後ろの席だった。




 机に椅子を逆さにして乗せて、生徒達が移動を始める。





 教科書を入れたまま机を持ち上げて動かしていくと、同じようにして移動してくる敬にかち会った。



「隣?」



 私は、机の中のものが重くて、腕を取られそうだったのを、一瞬、そう感じなくなった。



「みたい」



 私が言った。



「ラッキー。原さんの隣、嬉しい。」



 敬は普通にそういう事を言う。敬は照れない。



「よろしく」



 私は平静を装って、机から椅子を降ろした。






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