僕は彼女をこよなく愛している
ベタ惚れな僕
「るなちゃーん!」  

「ん?」

「るなちゃん、相手してー!」

「今ピアス作ってるから、ダメ」

「じゃあ…後ろからホールドしてい?」

「好きにして」

「じゃあ、首キスは?」

「勝手にどうぞ。
でも、邪魔だけはしないで」


同棲開始から、早くも一週間経った。
今日は朝から霞月が、ペアのピアスを作成していた。

甘えん坊で寂しがり屋の実陽。
(霞月に対してだけ)

この一週間、霞月にべったりだ。

ちょうど3日前だろうか。
実陽に「たまには遊びに行ってきたら?」と促した、霞月。

「遊びに出掛けるのは全然構わないよ?
でも、るなちゃんと一緒じゃなきゃ行かない」

真顔で(少し怒り気味)返された。

それでも霞月が“一人になりたい”と言うと、渋々霞月を一人で家から出してくれた。

帰りに“お礼”と称し、実陽の好きなスイーツ店のプリンを買って帰ると、待ち構えていたように玄関に駆けてきて抱き締められキス責め。
プリンを渡すと、また嬉しそうに抱き締められキス責めを受けたのだ。


一段落ついて、ふぅ〜と息を吐く霞月。

「終わった?」
実陽が、後ろから顔を覗き込んできた。

「ううん。
もう少し」
顔を向ける言うと、チュッと軽くキスをされた。

「ココア、飲む?」

「うん、飲みたい」

「ん。入れてくるね!」 
頭をポンポンと撫でて、キッチンに向かう実陽。

霞月が伸びをしていると、マグカップを置いて隣に座ってきた実陽。
自身も、お揃いのマグカップを持っている。

「だいぶ、形になってきたね!」

「うん」

「楽しみ〜」

「………」

「ん?るなちゃん?どうした?
疲れちゃった?
一緒にお昼寝する?」

「買った方が良かったね…」

「は?なんで?」

「上手く出来ないから」

「僕は、手作りの方が嬉しいよ?」

「でもよく考えたら、実陽カッコいいピアスしてたね」

「外して、るなちゃんとお揃いつけるよ!」

「私、不器用って思ってなかったんだけど、かなり不器用みたい。
初心者用の簡単なやつなのに…」

「それでも、るなちゃん手作りピアスがいい!
例え不格好でも“るなちゃんの手作り”ってことに意味があるから!」

「うん、わかった。
ありがとう。
頑張って作るね」

ピアスに目を向け、作業を再開する霞月。
実陽は頭を撫で、頬杖をして見つめた。


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