僕は彼女をこよなく愛している
腹いっぱい焼肉を食べ、四人はゲームセンターに向かおうとしていた。

「ねぇ、アンくん」

「んー?」

「“今”相談に乗ってもらったら?」

「は?」

「彼女のプレゼント」

「僕もいるし、安心だから」

「………」

「え?なんか、問題ある?」

「実陽、霞月にべったりくっついて、間に入ってくるから話しにくい」

「は?
でもるなちゃんは“僕の”彼女だし、当然だよね?」

怪訝そうに実陽を見た乃庵が、ため息混じりに口を開く。
「……………
―――――てゆうか…どうしたの?」

「はい?」

「カヤの時は、こんなことなかったよね?」

「え?」

「あー、確かに!(笑)」
乃庵の言葉に、琢三が賛同し笑い出だす。

「………」
そして、実陽は口をつぐんだ。

「………」
(カヤ?って誰?
…………まぁ、会話の内容的に、元カノかな?)

「カヤのこと大事にしてたけど、俺達とも頻繁に会って遊んでたな!」
「カヤと俺達が普通に話してても、何も言わなかったし。
こんな風に、嫉妬心剥き出しにすることもなかった」

「………」

「まさに陽キャって感じで、誰にでも別け隔てなく接しててさ」
「でも霞月と出逢ってから、霞月にべったりで、付き合い悪くなった」

「………」
(え?え?
私のせい……?
私が陰キャだから?)

琢三と乃庵の話に、霞月は段々不安になってくる。
自分のせいで、実陽が友達を蔑ろにしている。

「あ、あの…実陽、ごめん…
琢三くんと、乃庵くんもごめんなさい…」

「え!?なんで、るなちゃんが謝るの!?」

「あ、いや、霞月がどうのって言ってねぇよ?」
「そうそう!霞月は何も悪くないよ?」

「でも、私のせいで三人の関係が……」

「「「いや、違う!違う!」」」

「実陽の問題だから!」
「そう!実陽が悪い!」

「そう!僕が、るなちゃんが好きすぎるってゆうか……
るなちゃんから離れたくないからで…
とにかく!るなちゃんのせいじゃないよ?
ほんとだよ?」

不安そうに瞳が揺れている霞月の顔を覗き込み、言い聞かせた実陽だった。

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