僕は彼女をこよなく愛している
「ありがとう!助かったよ!」

「いえ。
良い買い物が出来て、良かったですね」

「うん、ありがとう!
あ、ねぇ!お茶でもどう?」

「あ…いえ…
帰らないと」

「あ、そうだね(笑)
お茶したら、益々実陽の嫉妬心を買うよね!(笑)」

「あ…(笑)
じゃあ、私。帰りますね」

「あ、待って!
家まで送る!」

「え?大丈夫です」

「いやいや。
これ……!」
そう言って、スマホ画面を見せてきた乃庵。

【帰り、絶対!るなちゃんを送って帰ってね!
るなちゃんのことだから絶対断ってくるだろうけど、何が何でも送って!!
るなちゃん、前にも増して可愛すぎるからヤバい!!
一人にしないで!!絶対に!!】

「あ…」

「ね?だから、送らせて?
それに実陽に言われなくても、やっぱ心配だし!」

「はい、すみません…」

そして、テイクアウトのココアを乃庵にご馳走になり、飲みながら家路につく霞月。

「………」
「………」

「………」
「………」

二人、特に何も話さずに歩いている。

「………」
(ほんと、ほっといたら何も話さないんだ……(笑))

そんなことを考えていると「あ、乃庵くん。ここで大丈夫です」と霞月が見上げ言ってきた。

「は?ここ、家って確か……○○だよね?」

「はい」

「家まで送るって!
じゃないと、実陽がキレる。
実陽って、普段穏やかであんま怒ることない分、キレた時がヤバいじゃん?」

「あ、それは……まぁ…
でも、実陽にお土産買って帰ろうかと思って」

「それよりも早く帰って顔見せてあげた方が良くない?」

「そうですか?」

「うん。俺なら、何をおいても早く帰って来てほしい。
実陽もそんな奴だよ?」

乃庵にそう言われ、霞月はそのままマンションに帰った。


マンション前で、礼を言う霞月。
「ありがとうございました」

「フフ…お礼を言うのは、俺の方!
わざわざありがとう!
実陽にも、ありがとうって言っておいてよ!」

「はい」

「今度、また食事しよう?
仲良くしてよ!」

「あ……」
(嫌…)

「………」

「………」

「………なーんてね(笑)
“嫌ー!”って顔に出てる(笑)」

「あ…」

「じゃあ、大学で!
その時は、仲良くしてよ?」

そう言って軽く手を振り、去っていった。

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