僕は彼女をこよなく愛している
受付をして、入学式の会場・大講堂に向かった四人。

あいている椅子に並んで座った。
霞月は、貰った資料を一通り確認する。

「実陽はやっぱ、霞月とずっと同じ講義?」
「当たり前!
離れない!」

「やっぱ、そうか(笑)」
クスクス笑う、琢三。

「霞月、大変だね(笑)」
乃庵も笑っている。

「あ、そのことだけど…」
「ん?」

「私、アツミ教授の講義受けようと思ってるの」

「え?」

「月二回なんだけど、講義してるらしくて」

「え!?
じゃあ、僕も!」

「あ…ごめん、実陽。
それ、無理」

「どうして!?」

「アツミ教授の講義、定員いっぱいなの」

「えー!!」

「つか、何の講義?」
琢三の言葉に、霞月が「あ、ジュエリーデザインです」と答える。

「確か元々は、有名なデザイナーだよね?アツミ教授って!」

「はい。
ずっと、狙ってて。
申し込む時、既に枠がなくて。
一人分しか取れなかったんです。
ごめんね、実陽」

「そっか……
じゃあ、月二回は離ればなれになるんだ…僕達…」

「実陽、この世の終わりじゃねぇんだからさ!(笑)」
「なんか、引き裂かれたみたいな言い方だね(笑)」
琢三と乃庵が笑っている。

「あ、でも霞月。
ちゃんと、実陽の分も取ろうとはしたんだな(笑)」

「え?」

「だって…な?」
「そうだね(笑)
実陽から離れるために、内緒で講義取ったのかなって!」
 
「え?さ、さすがにそうゆうことはしません…」
さすがの霞月も、首を横に振る。

その隣で、実陽が怒ったように言った。
「はぁ!?
るなちゃんがそんな酷いことするわけないでしょ!?
るなちゃんは優しくて、真面目で真っ直ぐな子なんだから!!」

「わかった、わかったから!」
「そんな怒んなよ…(笑)
ほら、帰りにコーヒー買ってやるからよ!」

「…………それなら、ココアにして!
るなちゃんも分もね!」

「は?ココア?」
「実陽、もっぱらブラックでしょ?」
琢三と乃庵が、目をパチパチさせている。

「あ…たぶん、私がココアが好きだから…」

「あぁ…」
「そうゆうこと…」

染められたんだな…霞月に……(笑)

琢三と乃庵は、そんなことを考えて苦笑いしていた。


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