僕は彼女をこよなく愛している
一方の実陽。

ギリギリに講義室に着いた。
あいている席をさがす。

一席しかあいてなくて、そこに躊躇なく向かう。

「こんにちは!
隣いいですか?」
ふわりと笑って、座っていた女子学生に言った。

「……//////あ、は、はい!どうぞ?」

「ありがとうございます!」
隣座り、資料を出した。

(るなちゃん、一人で大丈夫かな〜?
会いたいなぁ…)
資料を見ながらも、霞月への想いにふける実陽だった。


そして………オリエンテーションが終わり、講義室を出た霞月。
実陽にメッセージを入れる。

【みひろ、終わった?】

しかし返信は来ず、既読にもならない。

「………」
(まだ…終わってないか…
…………実陽は確か…C棟だったよね)

実陽がオリエンテーションを受けている建物まで行こうと思い、ゆっくり歩き出した。

C棟に着き、中を覗く。
学生がちらほらいるだけで、実陽がいるようには見えない。

もう一度スマホを操作すると、ちょうど実陽から電話がかかってきた。
「もしもし?」

『……っ…るなちゃん!!?
今何処!?』
焦ったような、実陽の声。

「あ、C棟」

『は?なんで!?』

「実陽を迎えに行こうと思って」

『こら!
待っててって言ったよね!?
とにかく、今から飛んでくからそこを動かないで!!』

「…………飛んでく…って……(笑)」
ブチッと切られ、霞月は突っ込んでいた。

そして待っていると……

「あ、さっきの塩対応ちゃんだ!」

「え?あ…」
(さっきのチャラ男くんだ!)

「うわぁ…可愛い!」
「だろ?」
「でもあいにく、めっっっちゃ!塩なんだよなー(笑)」

さっきの二人に、更に学生が増えていた。

「ねぇ、何してんの〜?」

「彼を待ってます」

「じゃあ、彼氏が来るまで――――――」

「るなちゃん!!」
そこへ、ちょうどよく実陽が駆けてきた。

「あ、実陽!」
思わず嬉しくなり、霞月も駆け寄った。

「大丈夫だった!?
ナンパされなかった!?
連れ去られそうにならなかった!?」

「うん、大丈夫」

「もう!
勝手にいなくなんないでよ!
約束したよね!?
待っててって!」

「うん、ごめんね。
終わってすぐメッセージ入れたんだけど、既読にならなかったから迎えに行こうと思って」

「だからって、約束は約束でしょ!?
もしかしたら、ナンパされて連れ去られたかもなんだよ!?」

「いやいや…ないない…」

「あるの!!
るなちゃん、可愛いんだから!」

「うん、ごめんね」

「はぁ…でも、良かったぁー
るなちゃんが無事で!
さぁ、行こ?
サブちゃんとアンくんが門で待ってるから!
みんなで、ランチして帰ろ?
はい、お手々!」

そして霞月の手を取り、指を絡めて引いた。

「………」
「………」
「………」

「………なんか…彼氏、強烈だな……(笑)」

「「「スゲー、カップル…」」」

男子学生達は、苦笑いして呟いた。

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