僕は彼女をこよなく愛している
「――――るなちゃん!?大丈夫!?」

何故か実陽が、そんな時間かからずに戻ってきた。
そして、ベッドに横になっている霞月に駆け寄ってきた。

「え?」
どう見ても、入浴後ではない。
霞月は、目をパチパチさせ見上げた。

「るなちゃん、お腹痛い?」
ベッド脇に腰掛けると、霞月のお腹をゆっくりとさすり始めた。

「実陽、お風呂は?」

「うん、先にるなちゃんが入らないとって思って」

「は?」

「僕、知らなかったんだけど、生理の時は一番風呂じゃないとバイ菌が入るんでしょ?」

「あ…」

「ね?ほら、入っておいでよ!
身体も温めなきゃだし。
あんまり熱すぎてもダメかなって思ったから、少し水で薄めてるからね!」

「うん、ありがとう。
じゃあ…お先に…」

「ゆっくり入っておいで!
あ、でも!なんかあったら、呼んで?」

「「飛んでいくから(飛んでいくから?)」」
実陽の言葉に霞月が揃える。

「あ…(笑)」
「フフ…」
二人は、微笑み合うのだった。


二人とも風呂に入り………
「るなちゃん、寝よ?」

「待って、痛み止め飲んでおきたい」
薬を飲み、ベッドに上がる。
横になると、実陽の腕が下に差し込まれて、包み込むように抱き締められた。

「痛い?」

「うん、少しね」

「よしよししようか?」

「うん…」
実陽の大きな手が、優しく動く。

「ねぇ、どんな痛みなの?生理痛って」

「んー、私はお腹に重い大きな石を乗せられたみたいな感じがする。
重くて、痛いって感じ。
腰も同じように痛くなるから、辛いかな」

「石がお腹に……
恐ろしいね……」

「人それぞれだから、一概には言えないけど。
だって、どうもない人もいるし、寝たきりになるくらい酷い人もいるからね。
私は幸い、薬飲めば動けるから。
良い方だよ?」

「でも、辛そう。
代わってあげたい!」

「フフ…無理だよ」

「うぅ…わかってるよ?」

「いや、そうじゃなくて!」

「え?」 

「実陽には…
てゆーか、男の人には無理だよ、この痛み」

「え?え?」

「“女だから”与えられたの。
私は、そう思う」

「るなちゃん?」

「男の人は力は強いけど、痛みに弱い。
女の人は心が強いから、痛みを耐えぬけるの。
だから女の人は、命懸けで子どもを生めるの!
痛みに弱いから男の人は、都合が悪くなると手を上げるんだよ……!」

霞月の言葉が、部屋に響いていた。


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