僕は彼女をこよなく愛している
執着する僕、解放されたいるなちゃん
実陽は基本的に、霞月を離さない――――――
何処に行くにも離れないし、何処にでも霞月を連れて行く。


「るなちゃーん!
ちょっと、本屋に行きたいんだ。
デートしよ?」

「一人で行っておいでよ」

「嫌ー!
るなちゃんの好きな、ハンドメイドショップにも行きたいから!」

「………」
(うぅ…ハンドメイドショップは、捨てがたい…)

「SNSに新作出たって載ってたじゃん!」

「見てたんだ…」

「もちろん!」

いつも霞月を後ろから抱き締めている、実陽。
キスをしたり、頬を擦り寄せたり、髪の毛で遊んだり…意外と忙しそうなので、霞月が見ているスマホ画面なんて気にも留めてないと思っていた。

「………」

「ね?行こ?
あと、ココア飲んで帰ろうよ!」

「………わかった」

「やった!」

準備をして、マンションを出た。


「――――先に本屋でい?
もう、買う物決まってるからすぐだし」

「うん。
何買うの?」

「参考書。
レポートあるでしょ?」

「あ、そうゆうことか」

「うん、ネット見てたら、気になる本を見つけてさ!
ネットでは売り切れてたから。いつ入荷するかわかんないって書いてあったし。
本屋に電話して、取り寄せてもらったんだ」

「そっか」

「るなちゃんも見ていいからね。
レポートしなきゃでしょ?」

「うん、ありがとう」

「あ、それか!僕の写す?(笑)」

「は?ダメだよ、それ」

「フフ…やっぱり?(笑)
そう言うと思った!」

本屋に着き、そのままレジに行って取り寄せていた本を受け取る。
そしてすぐに出た。

「他に、見なくていいの?」

「うん、特には。
あ、るなちゃんは何か見たかった?」

「ううん」

「じゃあ、いい!
僕は、るなちゃんが中心だから!」

「………」

「ん?るなちゃん?」

「実陽って、一人になりたいとかないの?」

「うん、ない」

「昔から?」

「うーん…そうだね。
基本的には、寂しがり屋かも?(笑)
グレてた時も、一人が嫌で仲間達といたって感じだし」

「じゃあ、今までの彼女にもべったりだったの?」

「え?
どうしてそんなこと聞くの?
元カノの話なんて、聞きたいの?」

「別にそうゆうわけじゃないけど…」
少し怒ったような言い方に、霞月は声が小さくなる。

「るなちゃんが初めてだよ。
全部、初めて。
こんなに好きになったのも、べったりなのも、彼女中心なのも……全部……!」


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