僕は彼女をこよなく愛している
霞月大好き実陽。
霞月が自分以外の男性と話しているのを見るだけで、すぐに嫉妬する。
それは、友人である琢三や乃庵であっても。

その中でも…… 
付き合い始めた頃から実陽は、霞月がナンパされることに強い嫌悪感を抱く。

それは、霞月がとても辛そうな顔をするかららしい。

「実陽」

「んー?なぁに?」

「私、大丈夫だからね?」 

「え?」

「ナンパ。
慣れっこだし、自分でかわせるよ?」

「でもるなちゃん、すっごく辛そうだもん!
嫌そうってゆうより、辛そう」

「え?そう?
うーん…嫌な思い出があるからかも?」

「それって、中学の時のこと?
前に話してくれた」

「うん」

霞月は中学一年の頃、当時高校三年の男子数名にナンパされ、連れ去られた事があるのだ。

幸い、乱暴される前にたまたま通りかかった大人に助けられたのだが、しばらくトラウマになって一人で外を歩けなくなった。

「だからね。
僕も、すっごく嫌な気持ちになるんだ。
さっきも辛そうな顔してたから、つい…頭に血が上っちゃった!」

「うん…」

「それもあって僕は、るなちゃんから片時も離れたくないんだよねー」

「え?
そうなんだ」

「うん。まぁ…好きすぎて離れたくないってのが強いけど(笑)」

「でも、もう大丈夫だよ?
ほんとに、かわせるから」

「でも力づくで引っ張られたら、わかんないでしょ?」

「だから、ほら!
防犯ブザー持ってるし!」
霞月は常に身につけている、防犯ブザーを見せた。
そして「人気のない所には行かないようにしてるし」と続けて言った。

「………ねぇ、るなちゃん」

「ん?」

「防犯ブザーもだけど…
それよりも、僕に助け求めてよ!」

「え?」

「僕、るなちゃんを100%守り抜ける自信あるよ!」

「あ…うん」
(確かに……
さっきの人も、実陽の“オーラだけで”怯えてたし…)

「中学の時の話だけど…
喧嘩も負けたことないんだよ?」

「へ、へぇ…」

「防犯ブザーより、頼りになるよ?僕」

「う、うん」

「るなちゃんが“助けて”って言ったら、何処へでも助けに行く!
何よりも、誰よりも、るなちゃんが大事だから……!」

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