僕は彼女をこよなく愛している
「あ…た、琢三くん!」
思わず、助けを求めるように琢三を見上げる。

「手、離せよ」

「………」
琢三の恐ろしいオーラと、鋭い声色に男子学生がゆっくり手を離す。

「こいつ、俺の親友の大事な女なんだよ。
お前、霞月を傷つけたら、実陽に殺されるぞ?マジで」
霞月を庇うように立ち、男子学生を睨みつけた。

「………」

「霞月、行こうぜ」

「あ、はい」
一緒に歩き出す。

そして、広場に向かいながら琢三が「実陽の言った通りだったな!」と言った。

「え?」

「実陽からメッセージが入ってさ。
ほら!」
そう言って、スマホ画面を見せてきた。

【サブちゃん今、大学だよね?
頼みがあるんだけど、F棟までるなちゃんを迎えに行ってくれない?
どうしても、アツミ教授の講義が終わるまでに僕が行けないから。
絶対るなちゃん、ナンパされて連れてかれるから!】

「あ…(笑)」

「本当にナンパされて連れてかれようとしてたな、霞月(笑)」

「すみません…」

「フッ…そんな落ち込むなよ(笑)
霞月は可愛いからな!」

「………それ、バカにしてません?」

「してねぇよ(笑)失礼だなー」

「………フフ…」
困ったように笑う琢三に、霞月も噴き出した。

「あ!」
(笑った!
確かに霞月の笑顔は、普段真顔だからか破壊力あるなぁー(笑)
可愛い//////)

「あ、そうだ!
あの…
この事は、実陽に言わないでくれませんか?」

「は?なんで?
一応、報告しとかねぇと!
だから言ったじゃん!
なんか、怪しいって」

「でも、実陽に心配かけたくないです」

「………」

「お願いします!」

「………はぁ…わかった。
“今回だけ”俺の心に留めとく」

「ありがとうございます」

「“その代わり”」

「あ、はい」

「“次、なんかあったら”実陽に助けを求めること。
何があっても、我慢せずに」

「………わかりました」

「あーゆう奴は、またなんかしてくる。
警戒しとけよ、絶対!」

「わかりました。
気をつけます」
 

待ち合わせ場所に着くと「あ!るなちゃーん!」と実陽が駆けてきて、抱きついてきた。

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