僕は彼女をこよなく愛している
霞月も嬉しくなる。
無意識に、実陽にしがみついた。

(実陽だ…
安心する……)

しかしその行為は、実陽に違和感を与える。
「るなちゃん?」

「え?」

「どうしたの?
“何かあった?”」
向き直り、真剣な眼差しを向けてくる。

「ううん」

「…………サブちゃんは?なんか知らない?」

「知らねぇ」

「………」

「ただ…」

「何?」

「たった一限の講義でも、実陽がいなくて寂しかったんだと!
お前等、普段から離れなさすぎなんだよ!(笑)
だから、ちょっと離れただけで寂しくなる」

「え!?//////
るなちゃん、寂しかったの?」

「え?あ…う、うん」
琢三に目で合図され、霞月も頷いた。

「そっかー!
ごめんね、もう…離れないからね!
今日は、ずーっとくっついてようね!」


それから―――自宅マンションに帰るため、駅に向かう。
電車に乗り、並んで座席に座った。

「あれ?
るなちゃん、これどうしたの?」
手首の赤くなっていて、実陽が優しくさすってきた。

「え?あ…
えーと……あ!転びそうになって、手をついたら捻ったの」

「そうなの!?
痛い?」

「少し。
でも、そこまで酷くないよ。大丈夫」

「帰ったら、湿布貼っておこうね!
それで、僕が“痛いの痛いの飛んでけ”してあげる!」


家に帰り着き、やっぱり霞月は実陽に後ろから抱き締めてられ手首をさすられていた。

「痛いの痛いの、飛んでけ〜」

「もう、大丈夫だって!」

「ほんとに?
でもるなちゃん、我慢するもん!」

「ほんとだよ」

「だったらいいけど…
あ、そうだ!
るなちゃん、明日10時集合だってさ!」

「え?あ…うん…」
(嫌だな…行きたくないな…)

「行きたくない?」

「え?」

「やっぱ、断る?」

「ううん、行く」

「いいの?」

「うん。
できる限り、実陽のために受け入れたいから」

「うん、うん!ありがとう!」

琢三や乃庵、その他の大学の友人達にバーベキューに誘われた実陽と霞月。

『私は行かない』
当然霞月は、実陽にこう言った。

『えー!
じゃあ、僕も行かない』

『は?
実陽は行ってきなよ。
てゆうか“実陽が”誘われたんだし』

『違うよ?
るなちゃんもだよ?
みんな、るなちゃんも一緒って言ってるんだよ?
アンくんの彼女も来るらしくて、るなちゃんに会いたがってるんだよ?』

そう言われ、霞月はしばらく考えて“実陽のために”行くことにしたのだ。


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