僕は彼女をこよなく愛している
人はどうしてキレると、その場をこんなにも凍らせるのだろう――――――
霞月とミエは、身体が凍ったように指一本も動かせない。
しかし霞月の目からは、止めどなく涙が溢れている。
男子学生に馬乗りになった実陽は、ただ…拳を振り下ろしていた。
霞月はなぜかこの恐怖と悲しみの中、昔のことを思い出していた。
――――――――――
――――――…………………
高校2年の夏休み。
待ち合わせ場所に向かうと、実陽が大勢の高校生に囲まれていた。
『実陽くーん!遊ぼうよー!』
『は?
悪いけど僕、用があるんだ!』
『はぁ!?
“僕”!!?(笑)』
『何それ〜ウケるんですけど〜(笑)』
『ごめんね、じゃあね』
高校生達の横をすり抜けようとする、実陽。
すると、高校生の一人に『ちょっ…待てよ…!!』と手首を掴まれた。
『離してよ』
『は?
すかしてんじゃねぇよ!』
『良い子ぶるんじゃねぇよ!
最低の悪魔が!!』
『離して』
『あ?』
『離して』
実陽が、掴まれた手を握り返す。
『…っいてぇぇぇーーーー!!!』
『離してって言ったよね?』
その手に力を入れていく。
高校生の叫ぶような声が響き渡る。
なのに、何故だろう。
その場の人間誰もが凍ったように動けない。
それは実陽の纏う雰囲気が、例えようのない程に恐ろしいからだ。
『“俺”に、触るな…』
漸く離された手。
離された後の高校生の手首は、青紫のような…異様な色をしていた。
“るなちゃーん!”
私は、実陽の呼び方が好きだ。
私は、実陽の笑顔が好きだ。
私は、実陽の甘えん坊なところが好きだ。
私は、実陽の優しくて穏やかで、心が広いところが好きだ。
例えメンヘラでも……私は、私といる時の実陽がいい!
目の前にいる実陽は、嫌……!!
「…………めて…実陽!
実陽!やめて!!
お願い!実陽、やめて!!」
腰が抜けて動けない身体を動かす。
這うように実陽の元に向かう。
「霞月ちゃん!」
ミエに呼ばれ、霞月は「ミエさん!乃庵くんと琢三くんを呼んできてください!」と言った。
ミエは「わかった!」と頷き、駆けていった。
霞月とミエは、身体が凍ったように指一本も動かせない。
しかし霞月の目からは、止めどなく涙が溢れている。
男子学生に馬乗りになった実陽は、ただ…拳を振り下ろしていた。
霞月はなぜかこの恐怖と悲しみの中、昔のことを思い出していた。
――――――――――
――――――…………………
高校2年の夏休み。
待ち合わせ場所に向かうと、実陽が大勢の高校生に囲まれていた。
『実陽くーん!遊ぼうよー!』
『は?
悪いけど僕、用があるんだ!』
『はぁ!?
“僕”!!?(笑)』
『何それ〜ウケるんですけど〜(笑)』
『ごめんね、じゃあね』
高校生達の横をすり抜けようとする、実陽。
すると、高校生の一人に『ちょっ…待てよ…!!』と手首を掴まれた。
『離してよ』
『は?
すかしてんじゃねぇよ!』
『良い子ぶるんじゃねぇよ!
最低の悪魔が!!』
『離して』
『あ?』
『離して』
実陽が、掴まれた手を握り返す。
『…っいてぇぇぇーーーー!!!』
『離してって言ったよね?』
その手に力を入れていく。
高校生の叫ぶような声が響き渡る。
なのに、何故だろう。
その場の人間誰もが凍ったように動けない。
それは実陽の纏う雰囲気が、例えようのない程に恐ろしいからだ。
『“俺”に、触るな…』
漸く離された手。
離された後の高校生の手首は、青紫のような…異様な色をしていた。
“るなちゃーん!”
私は、実陽の呼び方が好きだ。
私は、実陽の笑顔が好きだ。
私は、実陽の甘えん坊なところが好きだ。
私は、実陽の優しくて穏やかで、心が広いところが好きだ。
例えメンヘラでも……私は、私といる時の実陽がいい!
目の前にいる実陽は、嫌……!!
「…………めて…実陽!
実陽!やめて!!
お願い!実陽、やめて!!」
腰が抜けて動けない身体を動かす。
這うように実陽の元に向かう。
「霞月ちゃん!」
ミエに呼ばれ、霞月は「ミエさん!乃庵くんと琢三くんを呼んできてください!」と言った。
ミエは「わかった!」と頷き、駆けていった。