僕は彼女をこよなく愛している
目を見開いて実陽が霞月を見つめ、琢三、乃庵、ミエも目を見開いている。

「実陽!
やり過ぎだよ!!」

「るなちゃ…
うん…ごめんね…」

「言ったでしょ!
怖い実陽は嫌!!」

「うん、ごめんね!」

「私の前では出さないって言ったじゃん!!」

「うん」

「バカ!!」

「うん、バカだね、僕…」

「バカ!バカバカバカバカバカバカバカバカバカ!!!!」

「うぅ…るなちゃん…もうやめてぇ…」

「ありがと!!」 

「え?」

「実陽、助けてくれてありがと!!!」

「るなちゃん…//////」

「飛んできてくれて、ありがとう!!」

「うん!」

「実陽」
既に霞月の目から涙が溢れていた。
流れている涙を拭うこともなく、実陽に向かって睦月が両手を広げた。

「るなちゃん!」

吸い寄せられるように実陽は、霞月を抱き締めた。

「ごめんね、怖い思いさせて!
ごめんね!ごめんね!」


そして………琢三達に礼を言って、自宅に帰った実陽と霞月。

「………」
「………」

「………」
「………」

今、座椅子に座っている実陽に“霞月が”抱きついている。
実陽の膝の上に跨って抱きつき、実陽の首に顔を埋めている。

そして優しく実陽が、霞月の背中をトントンと撫でていた。

言葉はいらない。

ただ…静かに穏やかに時間が流れていく。

「………るなちゃん」

「何?」

「少しだけ、離れてもらってい?
僕、トイレに行きたくて」

「うん」
ゆっくり離れて、実陽の膝の上から降りる。

「ごめんね、すぐ戻って来るからね!」
安心させるように、ポンポンと頭を撫でた。

トイレに向かった実陽を見送り、霞月はココアを飲もうと立ち上がった。
電気ケトルで湯を沸かす。

すると実陽がトイレから出てきて、そのまま後ろから抱き締めてきた。

「お待たせ〜!
ん?ココア飲むの?」

「うん」

「僕も飲む〜」

「うん」
そして振り返った睦月。
実陽に向き直り、頬に触れた。

「ん?るなちゃん?」

「痛かったよね?
ごめんね」

「うーん…痛かったけど、それだけのことしたし」

「でも、ぶつことなかった…ごめんね…」

「謝らないで!
悪いのは、あいつ!
………と、僕!」

「………」

「るなちゃん、約束する!
もう…キレたりしない!」

「うん」

「“るなちゃんのために”暴力はふるわないから!」

「わかった。
じゃあ…約束!」

小指を出すと、実陽が「手ぇ、ちっちゃ…!」と笑って、絡めてきた。

「約束!」

そして、二人は自然とキスを交わした。

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