僕は彼女をこよなく愛している
クールなるなちゃんと賑やかな人達
季節な夏。
実陽達は、夏休みに入った。

実陽はずっと、ニコニコしている。
「るなちゃーん!
夏休みだしー、ずーっとくっついてようね〜!」

「え?
いつもそうじゃん!
夏休みとか関係なくない?」

「そうだけどー」

「あ、言ってたと思うけど、来週の土曜日は実家に帰るからね、私。
毎年身内でお食事会するの」

「あ、それね。
僕も“未来の家族だし”行っちゃダメ?」

「は?」

「だってぇ〜、大学卒業したら結婚するでしょ?」

「は?
そんな約束した?」

「え!?
逆に!るなちゃんは、僕以外の誰と結婚するの!!?
るなちゃんの旦那さんは、僕しかあり得ないじゃん!!」

「………」
(すっごい自信…)

「てことで!
お義父さんに聞いてみてい?」

「は?」

実陽がスマホを取り出し、操作し始めた。
「ちょっと待って!!」

「ん?」

「実陽、パパの番号知ってるの?」

「え?うん」
当然のように答える、実陽。

「え?え?」 

「ちなみに、お義母さんの番号も知ってるよ!」

「は?」

「ほら、僕は“未来の義理の息子だし!”」

「………」

「あ、るなちゃんも母さんの番号教えておこうか?」

「ううん、いい。
パパに連絡するのもやめて」

「え?
やっぱ、ダメか…」

「一日くらい我慢して!」

「うん、わかった…」

「実陽もたまには実家帰って、お義母さんに顔見せてあげなよ」

「はーい…」


そして身内での食事会当日。

昼過ぎまで、ゆっくりして………
(しかし、いつにも増して実陽がべったりくっついていた)

「じゃあ…行ってくるね」

「うん…
早く、帰って来てね…?」

「あ、それなんだけど。
夜遅くなるから、明日の朝帰るね」

「はぁ!!?ダメ!!!」

「え?でも、パパ達はお酒飲むから、送ってもらえないし、夜道は怖いの。
タクシーはお金高いし…」

「僕が迎えに行くから!!」

「え?あ、うん。わかった」

「連絡して?」

「わかった」

「……はぁ…」
霞月の手を包み込むように握っている、実陽。
なかなか離そうとしない。

「実陽」

「……はぁ…」

「実陽、離して?」

「このまま時間が止まればいいね。
そしたら、ずーっと一緒にいれる!」

「………」
(ドラマかっ!!)

やっぱり霞月は頭の中で軽く突っ込みを入れ、小さく手を振って出たのだった。

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