僕は彼女をこよなく愛している
「キャ~、霞月〜
元気してた〜?」
「カゲちゃん、婚約者いるんだって!?
どんな男よ!!?」
「会わせろ、霞月!
俺が、どんな奴が見定めてやる!!!」

(相変わらず、賑やかな人達…)

霞月の親戚達だ。
霞月以外みんな立派な社会人で、霞月の次に若いのは38歳の従兄だ。

そして霞月の親戚なだけあって、全員美形だ。

霞月以外、みんな陽キャラ。

霞月は、亡くなった祖父に似ている。
クールで、寡黙。
それでいて、穏やかで優しい祖父。

「その婚約者も連れてこようと思ったんだけどね…」
「霞月が、断ったのよー」

「はぁ!?
霞月!
今、呼べ!
みんなで見定めねぇとな!」

「………」
(呼ばないよ!)

「とっても良い子だよ!」
「えぇ!
明るくて、優しくて!素敵な息子さんよ!」

「はぁ…
私、おじいちゃんと話してくる」

霞月はため息をつき、仏壇に向かった。


「―――――おじいちゃん、相変わらずみんなうるさいくらいに元気だよ」

祖父が大好きだった、霞月。
こんな風に写真を見ながら話すのが、霞月の癒やしだ。

「私ね。
恋人が出来たの。
本人には恥ずかしくて言えないけど、凄く好きな人。
結婚、したいなってくらい。
実陽って言って、とっても大切な人だよ。
甘えん坊で、優しくて。
頭良くて、スポーツも出来る。
何をしても器用にこなすの。
私なんか、足元に及ばないくらい……
実陽もね。
私と結婚したいと思ってくれてるみたいだけど、大丈夫かな?
私は、実陽を幸せに出来るかな?
……………はぁ……って、ここで話してても答えなんか出ないよね…」

すると、後ろから……

「出来るわよ!霞月なら!」

母親が立っていた。

「ママ…」

「霞月は最高の私の娘だもん!
本当は、実陽くんにはもったいないわ!(笑)」

「そうだな!
だから、ほんとに嫁に渡す前に、サシで勝負するつもりだよ、俺は!」

「パパまで…
………フフ…実陽、強いよ?(笑)」

「は?マジか!?
だったら、酒で勝負だな!」

「もう…(笑)」

「ほら、みんな待ってるわよ!」
「ご飯にするぞ!」

「うん!」

微笑む両親に、霞月も微笑んだ。


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